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東芝デジタルソリューションズ、量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+」の新バージョンを提供

 東芝デジタルソリューションズ株式会社は27日、量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+」について、1000万変数に対応した新バージョン(以下、SQBM+ Version 2)の提供を、AWS Marketplaceで開始した。2023年度中には、Azure Marketplaceでの提供開始も予定する。

 SQBM+は、株式会社東芝が開発した技術「シミュレーテッド分岐アルゴリズム(以下、SBアルゴリズム)」を用いた、組み合わせ最適化ソルバー「シミュレーテッド分岐マシン(Simulated Bifurcation Machine 以下、SBM)」を核とした、量子インスパイアード最適化ソリューション。既存の計算機を使用して、複雑で大規模な問題の高精度な近似解(良解)を短時間で得られる。

 提供を開始するSQBM+ Version 2は、1000万変数に対応するとともに、アルゴリズムを改良して近似解探索の精度・速度を向上させ、扱うことができる組み合わせ最適化問題の規模を大幅に拡大した。また、高次項に対応し、現実の組み合わせ最適化問題に対して、より高い求解性能を実現している。

 サポートGPUについても拡大し、AWS Marketplaceで提供を開始した「SQBM+ for AWS Version 2」は、従来サポートしていたEC2インスタンスタイプ「p3.2xlarge」に加えて、「p3.8xlarge」「p3.16xlarge」「p3dn.24xlarge」「p4d.24xlarge」「g4dn.xlarge」の計6つのインスタンスタイプをサポートする。

 東芝グループでは、SQBM+を活用して、株式市場における高速高頻度取引への疑似量子計算機適用の有効性に関する共同検証や、計算創薬への適用技術の検証、エネルギーマネジメントや材料開発での有効性の検証などを行っている。

 SQBM+ Version2は、金融や創薬で求められる大規模な問題に対応でき、さらに、クラウド環境には向かない秘匿性の高いアプリケーションや、超低遅延を必要とするアプリケーション向けのオンプレミス版の提供も計画していると説明。東芝デジタルソリューションズは、さまざまな領域にSQBM+を適用し、複雑化する社会課題の解決に貢献していくとしている。

 また、東芝デジタルソリューションズでは、連携しているパートナーとともに、SQBM+ Version 2.1のβ評価を開始した。SQBM+ Version 2.1では、SQBM+の特長の1つである、「巡回セールスマン問題」や「シフト最適化問題」など特定の組み合わせ最適化問題をQUBOで表すことなく、直接解くことができる目的別ソルバー群をそろえる。SQBM+ Version 2.1は、2024年春頃のリリースを予定する。