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ニュータニックスが2024年度の事業戦略を説明、ハイブリッド・マルチクラウドによる“データ中心のプラットフォーム”実現へ

 ニュータニックス・ジャパン合同会社(以下、ニュータニックス)は9日、「Nutanix Cloud Clusters(NC2) on Microsoft Azure」(以下、NC2 on Azure)の日本での提供開始、9月に発表した米Cisco Systemsとのグローバルな戦略発表の日本での展開など、2024年度の事業説明を行った。なお重点領域としては、「真のハイブリッドマルチクラウドによる、データ中心のプラットフォームサービスの実現」を掲げている。

 代表執行役員社長の金古毅氏は、「これまでのわれわれのお客さまは、オンプレミス、あるいはデータセンター事業者のマネージドサービスでの利用がメインとなっていた。今回、マイクロソフトとの協業を発表し、新しい使い方をするお客さまが増えることが期待できる。Microsoft Azure上のサービスとのネイティブな連携により、AIなど新しい使われ方が増えていくだろう」と新ビジネス拡大への期待を明らかにした。

ニュータニックス・ジャパン合同会社 コーポレートバイスプレジデント兼代表執行役員社長の金古毅氏

 また、米Nutanix Inc.のエンジニアリング担当バイスプレジデント兼ハイブリッドマルチクラウド ジェネラルマネージャのインドゥ・ケリ氏は、「NC2は、アプリを最も早くパブリッククラウドへ移行する方法となる。既存のアプリケーションのフットプリントをそのままパブリッククラウドに移行し、そしてイノベーションの推進を実現する」と述べ、アプリが、オンプレミスから最新テクノロジーを活用できるクラウドへの移行を迅速に実現することを強く訴えた。

米Nutanix エンジニアリング担当バイスプレジデント兼ハイブリッドマルチクラウド ジェネラルマネージャのインドゥ・ケリ氏

2024年度の4つの重点領域

 金古氏はニュータニックス・ジャパンの2024年度重点領域について、「昨年度の事業戦略として説明した4つの軸は変えずに、さらに進化させていきたいと考えている」と説明した。

 2023年度に掲げたのは、

1)「ビジネスアジリティ」向上を実現する新たなワークロードの推進
2)「ハイブリッド・マルチクラウド化」を支援するサービスの強化
3)多様なクラウドジャーニーを実現するパートナーエコシステムの拡充
4)CX向上に向けた体制強化とお客さまのSXの実現

という4つの軸である。

2023年度の振り返り:Nutanixが日本において注力するビジネス領域

 「2023年度はこの4つの軸にのっとり、事業領域をインフラからアプリケーション領域まで事業を拡大してきた。2024年度についてもこの軸は変えずに、さらに進化させ、真のハイブリッドマルチクラウドによるデータ中心のプラットフォームサービスを実現したいと考えている」(金古氏)。

2024年度の日本において注力する重点領域

 具体的には、重点領域の1つ目である、ビジネスアジリティ向上と新たなワークロード実現として、エッジ、クラウド、as a Serviceへの利用拡大を進める。その鍵となるのが、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)とパブリッククラウドのベアメタルサーバーインスタンスを組み合わせた、「NC2 on Azure」の日本リージョンでの提供開始だ。すでに米国では2022年10月から提供開始しており、2023年11月9日から日本リージョンでの提供が始まった。

 サービスでは、ネイティブクラウドとネットワークを統合しており、Microsoft Azure Consumption Commitment(MACC)プログラムからソフトウェアおよびハードウェアを利用可能。また、拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)や、Azureハイブリッドベネフィット(AHUB)が提供されるほか、オンプレミスのNutanix 容量ベースライセンスの可搬性も備えている。

NC2 on Azure 日本リージョン提供開始

 ニュータニックスでは、この採用拡大を働きかけるために、11月から東京、大阪、名古屋など全国各都市においてソリューションセミナーを開催したり、気軽に試せるように、ベアメタルインスタンスがなくても無料でトライアルできる「NC2 on Azureテストドライブ」を提供するなど、さまざまな施策を実施する。さらにテスト利用としては、「NC2 on Azure30日無料トライアル」を提供し、NutanixプライベートクラウドとMicrosoft Azure間で簡単にアプリの展開や移行を試せるようにするとした。

 会見に登壇した、日本マイクロソフト 執行役員常務 パートナー事業本部長の浅野智氏は、「公共、金融といったお客さまにもクラウド利用がどんどん進んできている。特に最近ではAIへの注目度が高まっていることから、日本以外のリージョンにあるクラウド利用が難しいお客さまから、日本でのデータセンターが欲しいという声が今までたくさんあった。今回の日本リージョンでの提供開始を大変うれしく思っている」とあいさつ。

 また、「Azure OpenAI Serviceを数カ月前にリリースし、日本でも560社のエンタープライズのお客さまに利用いただいている。そんなに多いのかと思われる方がいるかもしれないが、実は米国と比べて44ポイントも下回っている。この差を埋めるために、マイクロソフトとニュータニックスを組み合わせ利用することで、ビジネス競争力を上げることになるとアピールしたい。サイロ化されたインフラ、セキュリティの不安、導入コストといった課題を、2社の組み合わせで解消することにつながる。さらにAIを利用することで、事務的作業はAIに任せ、空いた時間で本来のビジネスの利益率の高い仕事が多くできるようになる。新しいビジネス機会創出を2社でやっていきたい」とアピールした。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 パートナー事業本部長 浅野智氏

 重点領域の2点目である、ハイブリッド・マルチクラウドを使いこなしていくための施策としては、サービスメニューの拡充を進めている。テクニカルアカウントマネジメント(TAM)サービスの提供、Nutanix認定資格に加え、コンサルティングサービスを拡充する。

 コンサルティングサービスでは、「NC2 on Azureコンサルティング」として、NC2 on Azure早期導入支援パッケージを国内でも提供を始める。「Flow Virtual Networkingコンサルティング」は、ハイブリッドクラウド間をつなぐネットワーク仮想化の要件定義・設計・構築を行うコンサルティングサービス。「レジデンシャル・サービスの強化」では、ハイブリッドマルチクラウドの運用プロセス標準化とスキル移管を支援していく。

ハイブリッド・マルチクラウド化を支援するサービスの推進
真のハイブリッド・マルチクラウドを実現するサービス強化に向けたアプローチ

 重点領域の3点目では、多様なクラウド化を実現するためにパートナーエコシステムの拡充を行う。その1つが、9月に発表されたグローバル戦略提携を日本でも実施していくことだ。CiscoとNutanixで横断的な販売支援体制の確立・強化を行う。2023年12月からは、両社のパートナーが相互補完するコンサルティング&導入サービスを提供する。Cisco Hyperflexおよび他社ソフトウェアベースのHCI環境を対象としたNutanix Moveによる移行サービスを、2023年12月から提供する。

Cisco Compute Hyperconverged with Nutanix採用拡大に向けたアプローチ

 日本のシスコのパートナー企業で、ニュータニックスのパートナーである伊藤忠テクノソリューションズ、ネットワンシステムズからも、両社の戦略的提携を歓迎するエンドースメントが発表された。

 シスコシステムズ クラウド&サービスプロバイダーアーキテクチャ事業クラウドアーキテクチャ事業部の事業部長である鈴木康太氏は、「今回の両社の提携により、最も完成されたHCIのソリューションを提供できると強く信じている。今回の提携は、単に両社一緒に製品をお客さまにお届けするという話にとどまらず、自動化、ポリシーベースの仕組みを備えたコンピューティングとネットワーキングという、当社がもともと強かった部分と、HCI分野のリーダーであるニュータニックスと一緒に、より広いシステムをお客さまに提供できることになる。両社があたかも1社の企業のように、営業活動からサポートまで提供していく計画だ。日本国内のパートナーやディストリビューターと共に、お客さまの真のビジネスパートナーとなるよう、協業を推進していきたい」とアピールした。

シスコシステムズ合同会社 クラウド&サービスプロバイダーアーキテクチャ事業 クラウドアーキテクチャ事業部 事業部長の鈴木康太氏

 なお、今回の会見に登壇した、米Nutanixのケリ氏は、現在ニュータニックスが進めているプラットフォーム戦略として次の3点をアピールした。

1)あらゆるワークロードへの適用の強化
2)あらゆる場所への生成AI導入を推進。Nutanix GPT-in-a-Boxで生成AI実現を支援。最新のアプリケーションに最適なソリューションの強化
3)Nutanix Cloud Clusters(NC2)&Nutanix Centralで真のハイブリッドマルチクラウドを実現。パブリッククラウドへのプラットフォームの拡張

 「企業は、パブリッククラウド上でのエレベーションが必要であるにも関わらず、彼らが頼っているシステムはオンプレ上にあるという課題を抱えている。そこでわれわれがその支援を行っている。モダンアプリケーションは、ただ単にインフラに依存しているだけでなく、プラットフォームサービスにも依存している。そこでわれわれは、Nutanix Database Services(NDB)をベースにしたデータ中心のプラットフォームサービスを強化し、あらゆる場所のモダンアプリに最適な基盤の実現を目指す。あらゆるアプリとデータをどこでも利用できる単一のソフトウェアプラットフォーム実現を、われわれのプラットフォーム戦略としていく」と、ケリ氏はアピールした。