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欧米よりサステナブルなITへの興味がまだ低い日本、電気料金の上昇がそれを変えつつある~Pure Storage調査結果

 フラッシュオンリーのエンタープライズストレージを提供するPure Storageの日本法人、ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社(以下、両社合わせてPure Storage)は、7月20日に東京都内で記者説明会を行い、同社が実施した「日本のDX推進におけるサステナビリティの現状およびITの課題に関する調査レポート」と題する、日本企業におけるサステナビリティ(持続成長性)に関する調査結果を公開した。

 Pure Storage CTO ロブ・リー氏は「欧米行った調査ではIT管理者の86%がサステナビリティ目標の達成には技術インフラのエネルギー消費量の大幅な削減が必須だと答えているが、日本では43%にすぎなかった」と述べ、欧米の大企業のIT管理者はエネルギー削減を喫緊の課題ととらえているが、日本ではまだそこまで到達していないというのが現状だと指摘した。

Pure Storageが2023年末までに導入する75TBのDFM(Direct Flash Module)を手に持ち、同社のフラッシュメモリベースのソリューションがサステナブルなITを実現するのに役立つとアピールする、Pure Storage CTO ロブ・リー氏

 それを受けて、ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 田中良幸氏は「こうしたトレンドは日本では遅れて波及することが一般的で、電気料金が日本でも引き上げられていることなどにより、今後、日本企業でも持続成長可能なITへの注目が高まると考えている」と述べ、HDDや他社のフラッシュベースのストレージに比べてTCOや消費電力が低い、同社のストレージの強みが生かせると強調した。

欧米では低消費電力なストレージシステムへの注目度が高く、オールフラッシュのPure Storageが評価されているとCTO

 Pure Storageは、ニアラインSASなどのHDDがまだまだ主流になっているエンタープライズストレージ業界の中で、いち早くフラッシュメモリオンリーのストレージを提供したベンダーとして注目を集めている。

 Pure Storageのソリューションの特徴は、そうしたフラッシュメモリと、同社が「Purity」(ピュアリティ)と呼んでいるOS、さらにはIntel Xeon Scalable Processorのような汎用プロセッサを組み合わせ、ソフトウェア定義のストレージとして顧客に提供している点にある。

 また、同社が「Evergreen//One」と呼んでいるサブスクリプションモデルの料金体系も特徴的で、常に最新のハードウェア、ソフトウェアを固定料金で活用できるため、他社のソリューションと比較して低いTCOで活用できる。なお2023年になってからは新しいハードウェアも投入しており、それに関しては以前の記事をご参照いただきたい。

 Pure StorageのリーCTOは「既に欧米ではエネルギー問題が深刻になっており、環境問題への注目度も上がっている。例えばエネルギー問題でいえば、世界の電力消費のうちデータセンターが消費する割合は1~2%になっており、そのうち20~25%はストレージが消費する分になっている。日本の場合は既に2%を超えており、日本の環境省では、2030年までにその割合は10%になるという見通しを明らかにしている」と述べ、データセンターが消費する電力は年々増えており、電力需要のうちグローバルには1~2%、日本では2%強をデータセンターが占めているというデータを明らかにした。しかも、日本ではそれが2030年までには10%になる可能性が高いというのだ。

Pure Storage CTO ロブ・リー氏
データセンターの消費電力が世界的な課題に。全世界の消費電力の1~2%がデータセンターの消費電力に。そのうち20~25%はストレージが消費している

 リー氏は「こうしたITのエネルギー消費の問題は深刻になっており、欧米企業はビジネスの持続的成長性の足かせになると考えており、サステナビリティの実現を担当するIT管理者のうち86%がサステナビリティを実現するためにIT技術の革新が必要だと考えている。それに対して日本では43%で、欧米ほどは注目が高くないのが現実だ」とも述べ、既にビジネスの持続的成長性を実現するITソリューションへの関心が高まっている欧米に対して、日本ではまだ十分には注目されていないのが現状だと指摘した。

欧米では、サステナビリティを担当するIT管理者などの86%が、ITシステムのエネルギー消費量の大幅削減が必要だという認識を持つが、日本では43%にとどまる

 リー氏は「当社のストレージソリューションは他社のHDDやフラッシュストレージなどと比較して1/5の消費電力で、信頼性は10~30倍高く、運用コストは50%低く、必要な占有スペースも1/5で電子廃棄物も最大で85%削減できる」とアピール。Pure Storageが提供するフラッシュベースのストレージに切り替えることで、エネルギーコストなどの削減が可能になると強調した。

Pure Storageのオールフラッシュを採用する効果

 そして顧客事例として大手多国籍銀行の例では88%のエネルギー削減、94%のデータセンター専有面積の削減、年間190万ドルの運用コストの削減を、また同じく米国の大手自動車ディーラーでは、76.5%のエネルギー削減、68%のデータセンター専有面積の削減、51%の運用コスト削減をそれぞれ実現できたと紹介した。

大手多国籍銀行の例
米国の大手自動車ディーラーの例

日本では大多数の経営者がサステナビリティ関連の取り組みをCSRやPRの一環として考えている

ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 田中良幸氏

 またピュア・ストレージ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 田中良幸氏は、同社が実施した「日本のDX推進におけるサステナビリティの現状およびITの課題に関する調査レポート」と題する、日本企業におけるサステナビリティ(持続成長性)に関する調査結果を公開した。同社が公表した資料によれば、調査期間のマクロミル社によりインターネットリサーチの形で行われ、調査サンプルは220サンプルだという。なお、調査結果の全文は以下のWebサイトで公開されている。

 田中氏は「結論から言えば、残念ながらサステナビリティは多くの組織にとっては最優先事項ではない」と述べ、同社が調査した調査結果の結論としては、日本の経営やITシステムの構築はサステナビリティを重視して行われていないのが現状であるという調査結果だと指摘した。

 例えば「サステナビリティの取り組みに対する経営陣の姿勢」という調査項目では、「優先的に取り組んでいる」が30%、「優先的には取り組んでおり、どちらかと言えばCSR的な位置づけにおいている」が52.7%、「優先的に取り組んでおり、PRキャンペーンのように扱っている」が9.5%などとなっており、サステナビリティを実現する取り組みを行う姿勢はあるが、どちらかと言えば社会貢献やPRの一環として行われているという現状が浮き彫りになっている。また、サステナビリティの取り組みに行うITの役割としては、42.7%が組織のサステナビリティ目標を検討する際技術インフラの優先度は低いと回答したという。

日本のDX推進におけるサステナビリティの現状およびITの課題に関する調査レポートの抜粋

 また、東京エレクトロンデバイス株式会社 執行役員常務 宮本隆義氏がゲストとして登壇し、Pure Storageの代理店としての立場からその利点を説明した。

東京エレクトロンデバイス株式会社 執行役員常務 宮本隆義氏
宮本氏のスライド

日米欧の差はエネルギー危機への危機感の差、日本でも電気料金の上昇とともに注目度が高まっている

 こうした欧米と日本でサステナビリティの実現に向けた意識が大きく異なることに対してPure Storage CTOのリー氏は「欧州では昨年のウクライナ紛争発生以来、エネルギー問題への関心が高まっており、ITシステムの消費電力などに注目が集まっている。また、米国でも公開企業の責任として、サステナブルなITシステムを実現することに注目が集まっており、いずれも企業の経営者がリーダーシップをとってそうした課題への対処を進めている。そのあたりの違いが大きいのではないか」と、欧米ではウクライナ紛争などが日本よりもより身近な問題ととらえられており、エネルギー問題への関心度が高いことや、株式市場においてサステナビリティへの取り組みを行っていることが企業の評価ポイントになっていることなどを挙げた。

 また、ピュア・ストレージ・ジャパンの田中社長は「欧米と日本でそうした意識の差はあることは事実だが、今後そのギャップは縮まっていくと考えている。こうしたトレンドは遅れて日本などに到達することが多く、今起きていることはタイミングのずれだ。ただ、既に日本でも電気料金の値上げなどで、企業の中ではITシステムの電気料金に対する注目度が上がっているなど、徐々に日本でも注目度は上がっていっている」と述べ、本年に入り電力各社が電気料金の値上げを行うなど電気料金は上昇傾向で、2030年には日本の電力消費の10%に達すると見られている、データセンターの消費電力の削減問題は日本の企業でも避けて通れない経営課題になっていく可能性が高いと指摘した。

左からピュア・ストレージ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 田中良幸氏、東京エレクトロンデバイス株式会社 執行役員常務 宮本隆義氏、Pure Storage CTO ロブ・リー氏