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東電PGと日立、複数エリアのデータセンター間における計算負荷の分散制御などを活用した系統連携型エネルギーマネジメント技術を確立

 東京電力パワーグリッド株式会社(以下、東電PG)と株式会社日立製作所(以下、日立)は5日、電力系統における電力需給バランスの最適化とカーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギー(再エネ)の有効活用実現に向け、共同で実証実験を行い、複数エリアのデータセンター間における計算負荷の分散制御などを活用した、系統連携型エネルギーマネジメントに関する基礎技術を確立したと発表した。

 東電PGと日立では、データセンターの電力需要は今後も増加する見通しで、データセンターを稼働するための電力の輸送コストに比べて、データセンターで処理したデータを輸送する通信コストの方が経済的なことから、再エネなど含む発電所に近い場所にデータセンターを設置することが重要だと説明。現在、再エネは地方エリアで多く発電されていることから、再エネの地産地消が求められており、各エリアで発電される再エネを有効活用すべく、発電量に見合った電力需要の創出に向け、今後はデータセンターを活用したエネルギーマネジメントを推進することが重要になるとしている。

 こうした状況を受け、両社ではデータセンターが存在するエリアごとの再エネ発電状況を踏まえ、電力需要を他のエリアに分散させるエネルギーマネジメントの実証実験を2022年10月から実施した。実証では、茨城県内のコンテナ型データセンターと東京都内のサーバールーム間を接続し、電力需給シミュレーションデータに基づく調整要求に合わせて、データセンターの計算負荷の空間シフト、エリア内での計算負荷の時間シフト、ならびにデータセンター内の空調などのDER(Distributed Energy Resources:分散型エネルギー源)制御を行った。これにより、データセンターにおける分散制御によるエネルギーマネジメントの「基礎技術」を確立することに成功したとしている。

 また、データセンターのエネルギーマネジメントによる電力需要調整について、将来的に需給調整市場へ投入するにあたり、市場における同技術を活用した電力需要調整が入札要件を満たす可能性があることを確認したという。

 今後、東電PGと日立は、一連の実証を通じて確立した「基礎技術」を、需給調整市場においてデータセンターを電力需要の調整力とすべく、引き続き実証を重ね、電力安定供給と社会コスト低減の両立に向けて事業化を進めるとともに、2050年カーボンニュートラルの実現を目指していくとしている。