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ルクセンブルグのGcoreが日本市場に参入、エッジソリューションでAI開発も支援

 エッジソリューションをグローバルで展開するルクセンブルグのGcoreは20日、日本に拠点を開設し、国内市場に本格参入すると発表した。

 Gcoreは、2014年にオンラインゲームを提供するWargamingより分離独立し、ルクセンブルグで創業した企業。2016年にはグローバル製品第1弾として、ゲーム会社向け低遅延ネットワークとベアメタルサーバーを発売し、その後DDoSプロテクションやストレージサービス、ストリーミングプラットフォームなど、順調にサービスを拡大してきた。

Gcoreの歴史

 現在同社では、世界140カ所以上のPoP(Point of Presence)を基盤に、エッジクラウドやエッジネットワーク、エッジセキュリティ、エッジAIサービスを提供している。「Gcoreは低遅延が必須となるオンラインゲーミング業界でのサービス提供から始まり、未来の顧客のニーズを見据えて常に新たなサービスを追加してきた。当社のDNAである未来志向のイノベーション文化と、完全自動化によるプロビジョニング、そしてエッジに向けたあらゆるサービスを、日本企業にも提供していきたい」と、Gcore ヘッド・オブ・グローバルアライアンスのトーマシュ・ジェンバ(Tomasz Zieba)氏は述べた。

Gcoreの拠点
Gcore ヘッド・オブ・グローバルアライアンス トーマシュ・ジェンバ氏

 Gcoreの日本カントリーマネージャーに就任した磯村広紀氏は、同社の強みについて「低遅延サービスからAI開発などのスケーラブルなサービスまで、必要なサービスがすべて自動化されたひとつのプラットフォームで提供できることだ」と話す。国内での販売は、約70~80%がパートナーとの協業モデルになるとしており、「エッジのサービス領域は非常に広いため、特定の領域や全体をパッケージ化するような形での協業を検討している」という。

単一のプラットフォームでさまざまなサービスを提供

 エッジクラウドに関しては、すでに大手プレイヤーが国内でも多数存在するが、「当社のインフラをフル活用してもらえる企業や、運用・構築などを付加サービスとして提供するパートナーと組みたいと考えている」と磯村氏。「IaaS分野でも選択肢として検討してもらえるよう、知名度向上も目指す」としている。

Gcore 日本カントリーマネージャー 磯村広紀氏

 エッジネットワークとセキュリティに関しては、「特定のウェブコンテンツやアプリケーションに近いレイヤーに特化したインテグレーターが多数存在するため、そのような企業との提携をベースに市場でのプレゼンスを高めていく」という。

 エッジAIサービスに関しては、現在注目されている生成AIにも対応できるよう、「インフラへの投資も含め、開発や運営を中心にサービス提供する企業との教育モデルを検討している」と磯村氏は語る。

 このほか、同社ではeSIM 5Gにも注力しており、磯村氏は「B2BやB2Cにおいて、データ通信やデータ解析・分析など、一気通貫のインフラサービスを高速かつセキュアに国内で提供できる準備が整っている。この分野でも特定のパートナーとの協業が可能だ」と話す。

eSIM 5Gにも注力

 このように、「プロダクトカットでの強みを可能な限り生かしていきたい」と磯村氏。再販といった単純なパートナーシップだけでなく、「ホワイトラベルでの販売や収益共有型のモデルも含め、柔軟にパートナー戦略を進めていく」としている。

 国内のサービス基盤の増強も予定しており、今年10月にはNVIDIA H100 GPUを国内のデータセンターで展開する予定だという。また、日本語でのデータ管理やダッシュボードの表示など、ローカライゼーションも進めるほか、営業やマーケティング、日本語でのサポート要員を増強し、国内ユーザーの支援に備える。

 磯村氏によると、すでに国内での顧客も2桁にのぼっているという。今後の目標については、「年内には30社程度、来年にはその倍以上の顧客数を目指したい」としているが、「AIインフラのリソースの固渇が問題になっている今、いいタイミングでいいボリュームのサービスを国内で提供できるようになれば、数よりも規模の大きな案件が獲得できる可能性はある」と述べた。