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レノボが2023年度法人向け事業戦略を発表、「カスタマーサクセスへのコミット」など3点に注力

 レノボ・ジャパン合同会社およびレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社(LES)は30日、2023年度(2023年4月~2024年3月)事業戦略を発表した。

 法人向けビジネスの注力領域として、コンピューティングパワーを活用し、成果を出すところまでエンドトゥエンドで伴走する「カスタマーサクセスへのコミット」、エッジコンピューティングや仮想現実の活用、コラボレーション体験の最適化を進める「新たなコンピューティング活用領域」、導入障壁を下げることで、あらゆる地域のデジタル活用を次の段階に進める「デジタル活用格差の解消」の3点を挙げた。

2023年度 法人向けビジネス注力領域

 レノボ・ジャパンの檜山太郎社長は、「お客さまに製品を届けるだけでなく、成功につなげるところまでをしっかりと支援する。また、さまざまなコンピューティングのパターンがあるが、ニーズにあわせて、幅広い製品ポートフォリオを提供していく。そして、デジタル活用の格差を解消することは日本のIT市場にとって重要な課題であると考えている。市場シェアがナンバーワンだからこそ、ユーザーに貢献する度合いが大きくなければいけないと認識している」と語った。

 檜山社長は、2022年10月に、レノボ・ジャパンの代表取締役社長に就任して以来、今回が初めての記者会見となった。

レノボ・ジャパン 代表取締役社長の檜山太郎氏

 また、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズのジョン・ロボトム社長は、「レノボは、プランニングからインプリメンテーション、オーケストレーション、サポートのほか、データの消去やリサイクルまで、ITライフサイクル全般に対して、一気通貫で並走することができる。エッジからクラウドまでを提供でき、Lenovo TruScaleによるas s Serviceも提供している点が強みである」などと述べた。

 会見のなかで、ロボトム社長は、日本のエンタープライズ市場に関する調査結果を紹介。人的資本の不足を懸念に感じているCIOの割合が57%に達していること、12カ月以内にエッジコンピューティングを使用中か、使用しようと考えている企業が67%、今後12カ月以内にAIを使用しようと考えている企業が74%に達していることを示しながら、「日本の企業のニーズが変化している。レノボは、エッジからクラウドまで、ワークロードにあわせて一気通貫で提供できる強みを生かしながら、これらの課題領域にフォーカスしていきたい」とコメント。

 ソフトウェア定義によって、ハイブリッドクラウド基盤としても活用できるThink Agileのほか、タワーやラック、高密度サーバーといったサーバー製品をラインアップしているThink System、小型、軽量、堅牢性を兼ね備え、エッジ環境に最適化したThink Edgeを商品化。Lenovo Open Cloud Automationによって、エッジを管理、導入しやすい環境も提供していることを示しながら、「レノボのサーバー製品は、信頼性、セキュリティ、パフォーマンスのベンチマークなどにおいて、数々の世界ナンバーワンの実績がある。スーパーコンピュータのTOP500ランキングでは3分の1がレノボのサーバーをベースに構築され、電力効率の高いスーパーコンピュータを評価するGREEN 500ではトップを獲得している」としたほか、「ITは、集中と分散を繰り返してきたが、これからは、エッジコンピューティングによって、分散に進むと考えられる。そこに対してもさまざまなニーズに対応した製品を用意している」などとした。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 代表取締役社長のジョン・ロボトム氏

パートナー、法人顧客を支援するための施策を整備

 パートナープログラムである「Lenovo 360」についても説明した。

 Lenovo 360は、2022年度からスタートした取り組みで、PEOPLE、PLATFORM、PROGRAMの観点から各種パートナー施策を展開している。

 檜山社長は、「スマホやPC、ネットワーク機器、サーバーまでを網羅する『ポケットからクラウドまで』の製品群をパートナーに提供するために、従来は製品ごとにばらばらだった対応を、パートナー各社への窓口を一本化しながら、一気通貫でのソリューション提案が行える体制へと移行した。パートナー専用のポータルサイトである『Lenovo Partner Hub』を用意し、各種情報を提供し、パートナーに対して、PCとサーバーの連携をはじめとした新たな提案も行っている。製品カテゴリーを超えた活動に対しては、付与するポイントを増やすといったことも進めている」と語った。

Lenovo 360

 なお、Lenovo Partner Hubへの訪問者数は前年比で2.5倍に増加しているという。

 「今後は、パートナーとのアクセスをさらに強固なものとしていきたい、単に製品を卸すだけでなく、先々を考えた戦略も共有していくほか、提案品質の向上に向けた各種ナレッジやトレーニングメニューの提供、Lenovo Partner Hubを通じたトランザクションの効率化、製品およびサービス情報の提供を強化する」と述べた。

 一方で法人ユーザーに対しては、ユーザーの声を聞いて、要望やニーズを反映したワークショップやPoCサービスを提供したり、群馬事業場で実施しているCFS(Custom Fulfillment Service)により、顧客の仕様にあわせた設定にカスタマイズして出荷し、オフィスでネットワークに接続するだけで、すぐに使えたりようにしたり、PCの運用時には、レノボのコールセンターを活用したシェアード型ヘルプデスクの提供、DaaS運用支援などを行ったりすることにより、安定的な活用を支援できることを示した。

計画段階から伴走するための体制・オファリング強化

 檜山社長は、「クラウドとクライアントデバイスが融合する時代が訪れている。さらに、オフィスのなかだけで活用されていたコンピューティングパワーが社外でも利用されるようになり、24時間クラウドに接続されている状況も想定しなくてはならない。そうした環境でもしっかりとサポートすることが重要になる。また、Windows 11へのマイグレーションもしっかり進める必要がある。中小企業はDXの遅れが顕著であり、ここにビジネス機会があると感じている。最適化された体験を提供するだけでなく、お客さまの本質的な価値創造の貢献したい」と述べた。

クラウドとクライアントの壁が溶ける中で

 現在、国内PC市場は低迷しているが、2023年度後半からは回復基調に転じるとの見通しを明かし、2024年度には企業におけるIT投資が加速すると予測。檜山社長は、「社会はコロナ前には戻らす、コロナ後の新たな生活の仕方、働き方を追求している状況にある。日本のデジタル活用やIT市場は岐路に差し掛かっているのはさまざまな調査結果からも明らかだ」と前置き。

 その上で、「テレワーク活用率は3.7倍になり、テレワーク従事者の74%がハイブリッドワークを行っており、DXに取り組んでいる企業は69%に達している。その一方で、テレワークの対象となっている社員の比率は、首都圏とそれ以外では1.8倍の差があったり、DXに取り組んでいる企業は従業員1000人以上と、100人未満では2.4倍の差があったり、レガシーシステムが残っている企業が69%に達したりといった、デジタル活用においては二極化が進んでいるという課題もある。そして、日本のDXが遅れているという指摘があり、特に、データ活用は欧米に比べて周回遅れであるとも指摘されている。日本のDXを本気で推進していきたい。それによって、日本のIT業界を盛り上げることに貢献し、結果として、日本の国力を高めることにつなげたい」と語った。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズのジョン・ロボトム社長(左)と、レノボ・ジャパン檜山太郎社長

すべての人にテクノロジーの恩恵を届ける

 一方、レノボグループ全体の成長戦略についても触れた。

 レノボグループは、全世界180の市場で事業活動を進めており、世界18カ所の開発拠点、35カ所の製造拠点を持ち、年間1億5000万台以上のデバイスを出荷。PC市場においては、日本および世界でナンバーワンシェアとなっている。

Lenovo Groupの現在地

 「日本には開発拠点として大和研究所、製造拠点としてNEC PCの米沢事業場、FCCLの島根富士通があり、製品を創出する上では重要な市場になっている」と位置づけたほか、「PC以外の事業の売上比率は43%に達しており、ノンPC事業の取り組みは、法人向けの成長領域に充てていくことになる。レノボは社内DXに向けた投資金額は約1億ドルであり、どんな状況でも投資を続けていく姿勢がある。ガートナーによるサプライチェーントップ25では、世界8位と評価されている」とした。

 さらに、「レノボグループで重視されるのは、予算を達成するだけでなく、市場を上回る成長を遂げてもらうことを重視している。また、ユーザーにも、パートナーにも、一緒に成長をしてもらうことを重要視している」と語った。

 レノボグループでは、「Smarter technology for all(すべての人にテクノロジーの恩恵を届ける)」を社是としており、「技術をユーザーに届け、あらゆるビジネスに、テクノロジーの力で、違いをもたらすことを目指している。コロナ禍前までは製品や技術を、ユーザーに多く届けることが重要だったが、コロナ禍後はそれを届けた後に、ユーザーがどうやって活用し、ユーザーのためになっているのか、より効率を高め、成功につなげるにはどうすべきかということを真剣に考えるようになっている」(檜山社長)と述べた。

Smarter technology for all(すべての人にテクノロジーの恩恵を届ける)

 レノボグループのサステナビリティに対する取り組みについても言及。同社では、SBTイニシアチブ(SBTi)によるネットゼロ基準に基づき、2050年までにネットゼロを達成することにコミットしている。また2030年には、スコープ1およびスコープ2のCO2排出量を50%削減する目標に加えて、スコープ3のCO2排出量についても削減目標を設定して、パートナーを巻き込んだ活動を推進している。

 さらに、電力効率向上、プロダクトデザイン、パッケージング、サービスにおいてさまざまな施策を展開。日本でも、Lenovo CO2オフセットサービスを提供し、デバイスから発生する炭素排出量をオフセットし、持続可能な社会の実現に貢献しているという。

サステナビリティへの取り組みはレノボの優先事項

 「ThinkPadでは、設計、調達、生産、配送を行い、5年間使用した場合に、CO2排出量が1~1.5トンになる。この分をレノボグループで削減し、オフセットすることができる。このオフセット権を約1300円で購入でき、認定証も発行する。ThinkPadを大量導入しても、企業活動としてCO2排出量の削減に貢献していることを証明できる」(檜山社長)とした。

 さらに、同社が取り組む液冷技術が、サーバーのエネルギー効率を最大化できると指摘。「レノボのNeptune液冷技術は、直接温水冷却により、45~50℃の水温でも冷却することができるようになっている。お風呂の湯より熱くても、冷却できる。この良さをもっと伝えていきたい」(ロボトム社長)と語った。

 調査によると、サステナビリティに関心を持つCIOは57%、サステナビリティ関連の取り組みが必要だと考えているCIOが71%、サステナビリティに対して具体的な取り組みを検討しているCIOが56%に達していることを示しながら、檜山社長は、「サステナビリティに関する関心が高まっており、日本でも経営課題になっている。レノボグループが先陣を切って環境対策に取り組んでいる企業であり、お客さまに対する環境インパクトを提供していきたい」と語ったほか、ロボトム社長は、「エッジの広がりとともに、デバイスの数は増加し、使用場所も増加する。それに伴い、電力消費も増加する。こうした課題にも対応していくことも、レノボの重要な役割である」と語った。

サステナビリティへの取り組みは日本の経営課題に