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2023年の国内エンタープライズインフラ市場は前年比4.1%増の8014億1200万円、IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は18日、国内エンタープライズインフラ市場予測を発表した。2023年の国内エンタープライズインフラ市場は、前年比4.1%増の8014億1200万円と予測している。

 IDC Japanでは、サーバーやエンタープライズストレージシステムで構成される国内エンタープライズインフラ市場について、製品分類、配備モデル、バイヤータイプなどの視点から予測している。

 2022年の国内エンタープライズインフラ市場は、サプライチェーン制約によって積み上がったバックログ(受注残)の解消が進んだことから、前年比成長率が20%を上回る高い水準となったと説明。2023年は、バックログの解消に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって抑制されていた経済活動の再開や、延期されていたプロジェクトの再開などによって、エンタープライズインフラに対する需要が堅調に推移し、プラス成長になると見込んでいる。

 IDC Japanでは、エンタープライズインフラ市場を、OEMが提供するOEM ServerおよびOEM Storageと、ODMが主にグローバルクラウドサービスプロバイダーなどの顧客ごとに設計/製造してその顧客に直接提供するODM Directの、3つの製品分類に分けている。製品分類別では、2023年の前年比成長率は、OEM Serverが1.5%、OEM Storageが10.0%、ODM Directが8.4%となり、すべての製品分類でプラス成長を見込んでいる。

 配備モデル別では、2023年の前年比成長率がNon-Cloudが1.9%、Private Cloudが2.5%、Public Cloudが9.0%と予測しており、エンタープライズインフラがクラウドとして配備される割合がさらに高まると見込んでいる。バイヤータイプ別では、2023年の前年比成長率はSP(Service Provider)が5.8%、Non-SP(非Service Provider)が2.3%となり、国内のエンタープライズインフラに対する支出は、2023年にサービスプロバイダーが一般の企業や組織を初めて上回ると予測している。

 2024年以降については、国内エンタープライズインフラ市場は前年比でマイナス成長が続くと予測。これは、主にOEM Serverにおいて出荷が大きく落ち込んだ2021年以前の出荷分の更新需要が減少するためだとしている。一方、2027年には、出荷が大幅に伸びた2022年以降の出荷分の更新需要などによってプラス成長に復する見込みで、2027年の同市場は7858億9500万円、2022年~2027年の年間平均成長率は0.4%と予測している。

 国内エンタープライズインフラ市場は、セグメントによって成長性は一様ではなく、2022年~2027年の年間平均成長率が市場平均を上回るセグメントは、製品分類別ではOEM StorageとODM Direct、配備モデル別ではPrivate CloudとPublic Cloud、バイヤータイプ別ではService Providerになると予測。パブリッククラウドサービスの活用、プライベートクラウドへの刷新、as-a-Service消費モデルの普及といった要因によって、エンタープライズインフラの配備モデルや購入者が変化し、国内エンタープライズインフラ市場におけるセグメント別の成長性に差が出ると分析している。

 IDC Japan Infrastructure & Devicesのリサーチマネージャーである宝出幸久氏は、「ITサプライヤーは、自社の強みに基づいて成長セグメントや収益を確保し得るセグメントにおける競争力を強化すると共に、エンタープライズインフラ関連分野のエコシステムを強化することで、デジタルビジネスの成功に向けて顧客のITインフラの刷新に伴走するパートナーとしての地位を確立すべきである」と分析している。