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日立、サプライチェーンにおける脱炭素の推進を支援するソリューション「EcoAssist-Pro/LCA」を発表

 株式会社日立製作所(以下、日立)は20日、ストレージをはじめとしたITプロダクツ設計・製造拠点の神奈川事業所(神奈川県秦野市)における、カーボンニュートラルに向けた製品のライフサイクルアセスメント(LCA)の取り組みやノウハウを、「EcoAssist-Pro/LCA」として社内外に展開すると発表した。

 神奈川事業所では、新製品や既出荷製品に関わらず、設計部品表(BOM:Bill of Materials)をベースに、原料の調達から、製造工程における燃料・電力の使用、製品の使用・廃棄に至るCO2の排出量を、製品単位で精緻に自動算定・可視化する実証を2023年1月から行っており、今回、実製品での効果検証を完了した。また、これを受けて20日から、「EcoAssist-Pro/LCA」の拡販活動を開始するとともに、要件定義、顧客環境での実証実験を順次進め、2024年3月の提供開始を目指すとしている。

「EcoAssist-Pro/LCA」の概念図

 日立では、BOMをベースに、調達する素材・部品の重量、自社の加工・組み立て・検査工程の電力量、製品の消費電力などの関連システムと連携し、製品単位でのCO2の排出量を実態に沿って算定することを可能としたシステムとして「EcoAssist-Pro/LCA」を開発した。その上で、欧州エコデザイン規制(ESPR)や炭素国境調整メカニズム(CBAM)対応を見据え、グローバルのサプライチェーンでビジネス展開を行い、既に海外から開示要求のあるストレージなどのITプロダクツ製品を製造する、神奈川事業所で実証を重ねてきた。

 また、神奈川事業所以外でも、日立の大みか事業所の一部製造工程で「EcoAssist-Pro/LCA」を活用した実証を進めているほか、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が事務局を務める Green x Digitalコンソーシアムに参加することにより、自社のCO2排出量をサプライチェーン上で共有することで、サプライチェーン全体における排出量の算定に向けた取り組みを先行的に進めているという。

 日立では2023年1月から、神奈川事業所における新製品や既出荷製品において、「EcoAssistPro/LCA」を活用した製品単位ごとのライフサイクルに関する脱炭素実証を開始した。実証では、BOMから部品の材料や重量情報を取得し、Scope3の上流におけるサプライヤー側からの CO2排出量を算出する。

 さらに、Scope1、2においては、製品ごとに異なる製造プロセスや使用設備に基づき、電力量、燃料使用量の実測値から排出量を算出する。これに加えて、Scope3の下流の製品使用時の消費電力をデータベースから取得し、製品廃棄時の排出量も加算することで、Scope1~3の製品レベル全体での CO2 排出量算出の自動化、ダッシュボードによる見える化、さらに各種分析ができることを確認したことで、「EcoAssist-Pro/LCA」のソリューション化に至ったという。

 実証では、神奈川事業所における出荷製品のうち、約950の販売形名を対象に、CO2の排出量算出を実施している。現在、算定結果のデータ検証を継続して実施するとともに、2023年度末を目標に排出量算定対象の販売形名を拡大して、実証実験を完了させる予定。その算定結果をもとに、CDPサプライチェーンプログラムの回答、および今後のステークホルダーへの会社・事業単位での報告に活用することを目指す。

 また、日立では今後、「EcoAssist-Pro/LCA」を日立グループの製造拠点だけでなく、顧客や社外パートナーにも展開することで、算定に要する膨大な工数を削減するほか、各Scopeでの排出量の把握と課題箇所を明確にし、より効果的な脱炭素化に向けた取り組みを行うことが可能になることで、社会全体のカーボンニュートラル実現に寄与していくとしている。