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TOPPANホールディングスと富士通、医療ビッグデータ事業の拡大に向けて協業

 TOPPANホールディングス株式会社と富士通株式会社は18日、次世代医療基盤法における医療ビッグデータを活用した研究開発の推進や、新たな産業・事業の創出による健康長寿社会の実現を目指して、医療ビッグデータ事業を共同で推進するために、業務提携契約を締結したと発表した。

 提携により、匿名加工された電子カルテデータベースに、TOPPANホールディングスが保有する分析技術と、富士通が保有するデータクレンジング技術を組み合わせることで、より高精度な医療ビッグデータの分析と、研究開発や診療を支援するサービスの提供を推進する。さらに今後は、匿名加工された電子カルテデータをはじめとする、あらゆる医療・健康データの利活用を共同で進めていくとしている。

 TOPPANホールディングスは、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、新事業分野ではヘルスケア事業を注力テーマの1つに掲げている。中でも、DXによる取り組みとして、次世代医療基盤法における認定匿名加工医療情報作成事業者である、一般財団法人日本医師会医療情報管理機構(以下、J-MIMO)が保持する匿名加工された電子カルテデータをベースとした分析サービスを核に、医療ビッグデータ事業を推進している。

 富士通は、サステナブルな世界の実現を目指す「Fujitsu Uvance」のもと、あらゆる人のライフエクスペリエンスを最大化する「Healthy Living」の取り組みを進め、電子カルテシステム事業で培った電子カルテデータのコードやマスタの管理方法、データクレンジング技術のほか、医療データ分析技術および、固有表現、関係抽出といったAI技術を活用し、医療分野におけるデータの利活用を推進している。

 今回の提携により、データ分析に活用する匿名加工された電子カルテのデータ項目や量を増やし、両社の医療データの活用ノウハウとデータプラットフォームを連携させ、より高度な分析の実現と製薬企業や医療機関向けの分析サービスの提供を目指す。

 TOPPANホールディングスは、J-MIMOによって匿名加工された電子カルテデータを、医療情報分析・提供サービス「DATuM IDEA(デイタム イデア)」に導入する。その際に、富士通のデータクレンジングプラットフォームを経由することで、病院ごとに異なるデータ形式の診療データを構造化する。これにより高精度な分析を可能にし、医薬品の安全性、有効性評価を加速し、より効果的、効率的な医薬品開発や、データベースを用いた個別化医療の実現に貢献することを目指す。

 富士通は、匿名加工された電子カルテデータを活用した、製薬企業、医療機関向けのSaaS型分析サービスの開発を進める。医薬品開発プロセスの効率化、医療の質向上への寄与を目指して、診療データ可視化やアドホック分析などのサービス開発のほか、予測や予兆などの医療AIモデルの研究開発での活用も推進する。

 また、データ分析における電子カルテデータの増加に向けて、両社は医療機関およびJ-MIMOと連携し、電子カルテに格納される医療情報に加えて、退院時のサマリー、看護記録、手術記録など、これまで利活用されていなかったデータ項目を収集し、分析に活用する項目および電子カルテデータの量を増やす。これにより、より詳しい患者の状態を把握することで、患者一人ひとりにおける個別化医療の実現に貢献する。

 両社は今後、提携に基づく取り組みを推進し、電子カルテデータに関する解析研究を共同で進めることで、健康寿命の延伸と持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。