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日本の事業規模をさらに成長させたい――、Dell Technologiesが2024年度の方針や国内市場での取り組みなどを説明

 Dell Technologiesのグローバルシアターセールス部門&Dell Tech Selectプレジデントであるジョン・バーン氏と、同APJ プレジデントのピーター・マース氏が来日し、2023年2月からスタートした同社2024年度の方針や、日本市場における取り組みなどについて説明した。2人はいずれも2023年2月から現職に就いている。会見には、デル・テクノロジーズ株式会社の大塚俊彦社長も同席した。

 Dell Technologiesのマースプレジデントは、「日本のICT市場は2600億ドルに達し、エンタープライズIT市場としては、世界で2番目に大きい。DXの取り組みも進展しており、Dell Technologiesにとっても重要な市場である。1989年に日本に拠点を設置しており、デルとEMCの合併後、日本は事業規模は2倍に拡大した」とし、「日本においては、エッジ、テレコ/5G、マルチクラウド、サイバーセキュリティ、将来の働き方の5つの領域にフォーカスしており、日本の事業規模をさらに拡大したい」と述べた。

日本における取り組み
Dell Technologies APJ プレジデントのピーター・マース氏

 Dell Technologiesの2023年度(2022年2月~2023年1月)のグローバルの業績についても説明。売上高は過去最高となる前年比1%増の1023億ドル。さらに、営業利益は前年比24%増の58億ドル、非GAAPベースの営業利益は前年比11%増の86億ドルとなり、これらも過去最高の業績となった。

 セグメント別に見ると、サーバーやストレージ、ネットワークなどのインフラストラクチャーソリューションズグループ(ISG)の売上高は前年比12%増の384億ドル、営業利益は前年比35%増の50億ドルとなり、過去最高を記録。その一方で、PCなどによって構成されるクライアントソリューションズグループ(CSG)の通期売上高は、前年比5%減の582億ドル、営業利益は前年比12%減の38億ドルと減少している。

2023年度通年と第4四半期のハイライト

 Dell Technologies グローバルシアターセールス部門&Dell Tech Selectプレジデントのジョン・バーン氏は、「ISGは継続的に成長しており、サーバーおよびネットワークは9四半期連続、ストレージは4四半期連続でビジネスを成長させている。また、CSGはコロナ禍に集中した需要の反動が見られている。PC市場は厳しい環境にあるが、コマーシャルPCのビジネスは拡大している」とコメント。「Dell Technologiesは、外部ストレージ、HCI、バックアップ装置、サーバー、PCワークステーション、モニターといった幅広い領域で、ナンバーワンシェアを獲得している。市場全体の動向も大切だが、市場シェアも重視している」と説明した。

Dell Technologies グローバルシアターセールス部門&Dell Tech Selectプレジデントのジョン・バーン氏

 さらに、「Dell Technologiesは、コアビジネスの継続的な成長と、成長領域における先進化に力を注いでいる。また、さまざまなニーズがあるなかで、それに対応するために投資を強化しており、過去3年間に76億ドルのR&D投資を行い、2023年度第4四半期においては、2万8738件の特許を申請している」と述べた。

 さらに、デルが目指しているのは、データが中心となる時代において、不可欠なテクノロジー企業になることであり、適切なクラウドを打ち立てること(Cloud Done Right)を目指しているという。

 ちなみに、「Cloud Done Right」は、同社がメッセージとして使っている「Multi Cloud by design」と同様の意味合いを持つという。

 「いまはオンプレミスなのか、オフプレミスなのかといった議論は終わり、適切なクラウドを選択することが大切になっている。Cloud Done Rightの取り組みは、コスト削減や人的資源の有効活用にもつながる。また、as a ServiceであるAPEXは、第4四半期には67%増となっており、新たなサービスへの関心も高まっている。Dell Technologiesは、Cloud Done Rightの取り組みにおいても、顧客やパートナーにとって、信頼できるアドバイザーになりたい」とした。

 さらに、ESG(環境、社会、ガバナンス)に対する取り組みについても時間を割いた。

 環境では、梱包材の90%にサステナブルな素材を活用していることや、スコープ1および2における温室効果ガスをすでに30%削減し、2050年までに温室効果ガス排出ネットゼロを目指していることを強調。製品そのもののエネルギー効率を改善し、電力消費を削減していることも示した。「最新の第16世代サーバーでは、エネルギー効率を60%向上させている」という。

 社会では、Dell Technologies の活動が、1億5900万人に対してポジティブなインパクトを与え、社員の50%以上がERG(エンプロイーリソースグループ)に参加し、13の部会を通じて社会活動を支援。2030年までに社員の女性比率を50%に高め、リーダーの女性比率を40%とする計画を打ち出していることも紹介。また、11年連続で倫理性の高い会社として評価されていることにも触れた。

ESGのハイライト

 APJの取り組みは、マース氏が説明。APJはシンガポールに本社を置き、3万5000人以上が勤務。40か国以上で事業を展開し、72カ所の施設を稼働。インドとマレーシアに工場を持っている。そのほか、R&Dラボをインドとシンガポールに設置。日本にはAI エクスペリエンスセンターや5Gラボ、EBC(エグゼクティブブリーフィングセンター)を設置している。また、シンガポールには、グローバルイノベーションハブを開設しており、ここではデジタルシティなどの取り組みを支援する専門チームが在籍。今後、ここでの成果をグローバル展開していくという。

 また、APJ市場において、外部ストレージでは28.3%のシェア、サーバーでは35.0%のシェア、コマーシャルPCでは21.4%のシェアを持っていることを示しながら、「Dell Technologies は、APJに大規模な拠点を持ち、エンジニアを配置して、数々の戦略を実践している。まだまだ成長の余地があると考えている」などと述べた。

APJのハイライト

 APJにおける最新の取り組みについても説明した。

 富士通とは、Open RANの統合ソリューションにおいて協業。韓国ヒュンダイ自動車では、デジタルツインを活用してメタファクトリーを構築し、全世界1000万台規模の自動車生産を支援しているという。また、ブルネイのUNNでは、オンライン教育を実施し、1万5000台のPCも提供。タイのN-HEALTHでは患者データを活用して、健康を管理。オーストラリアのクイーンズランド大学ではHPCを活用した創薬を支援し、インドのPHONE PEでは、データセンターに液浸ソリューションを導入しているという。「液浸ソリューションは、日本の顧客とも話を進めている」と述べた。