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旭有機材、TISの「ドキュメントAI-OCRサービス」で研究開発文書をデジタル化

 TIS株式会社は7日、旭有機材株式会社が、AI-OCRトータルサービス「Paperoid」の「ドキュメントAI-OCRサービス」を採用し、1万枚にもおよぶ自社の研究開発文書をデジタル化したと発表した。

 樹脂事業、管材システム事業、水処理・資源開発事業といった3つの主力事業を手掛けている旭有機材では、2019年から、全社横断型のITツールを活用した業務効率化プロジェクトを開始している。その中で出た要望の1つに、過去の紙の情報を探す手間を効率化したいというテーマがあった。

 新たな樹脂の開発にあたり、過去の文書が必要になることがあるが、同社内には、古いものでは1960年代から、配合テストの結果や顧客への報告書など、膨大な紙の書類が蓄積されており、その中から必要な情報を探し出すために、丸1日かかることもあったという。またこうした状況のため、本来の業務である研究開発に専念しにくい状況になってしまうのみならず、過去の研究開発を知る熟練社員が定年で年々減少しており、情報リソースを容易に共有できないといった、技術伝承の障壁も存在したとのこと。

 そこで、まず約1万枚の文書をPDF化するスキャン作業を社外委託で実施し、電子ファイル化を進めたが、検証の結果、規則性を持たせてファイル名を付けるだけでは目的の情報を見つけることが困難だと認識し、全文検索を可能にするAI-OCRの追加導入を決めた。

 そして、複数のAI-OCR製品・サービスを比較検討した結果、1)手書き文字の認識精度が高い、2)OCR化する文字の範囲を手動で指定する必要がなく、対象の原本PDFに含まれる文字が、すべて自動でテキストデータ化される、3)解析結果がPDFに透明テキストとして埋め込まれ、原本自体を直接検索できる――といった点を評価し、TISのドキュメントAI-OCRサービスを最有力候補に選定している。

 旭有機材はその後、実際にPoCを行い、求めていた認識精度と全文検索への適性が実証されたため、正式採用を決定。約1万枚の手書き文書をOCR化する作業は2022年秋に終了し、現在は完成した透明テキスト付きPDFを業務で本格利用するため、全文検索の手段確立に取り組んでいる。