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HPEがデータストレージサーバー新製品を発表、オンプレミスでクラウドの利便性を実現

 日本ヒューレット・パッカード合同会社は2日、これまでブロックストレージ製品のみで構成されていた「HPE Alletra」シリーズを拡張し、データストレージサーバーとなる「HPE Alletra 4000」シリーズを発表した。同日より受注を開始し、3月中旬より出荷する。

HPE Alletra 4000シリーズのHPE Alletra 4110(左)、HPE Alletra 4120(右)

 日本ヒューレット・パッカード 執行役員 データサービス事業統括本部長 兼 HPC・DATA&AIソリューション事業統括本部長の根岸史季氏は、HPEが実施したグローバルでの調査から、「デジタルトランスフォーメーション(DX)にはデータの利活用が欠かせないが、戦略的にデータを活用できている企業は非常に少ない」と解説。また、データの利活用に向けてデータをクラウドに統合する企業も多いが、「クラウドの恩恵を最大限受けるにはコストがかかり、ベンダーロックインされてしまう懸念もある」と、クラウドの課題も指摘する。

 「現実的にはすべてのデータをクラウドに置くのではなく、オンプレミスとクラウドを組み合わせ、適材適所で保管場所を考えた方がいい。オンプレミスとクラウドをうまく連携するには、連携を意識したクラウドネイティブなインフラストラクチャが必要だ」と根岸氏は述べ、HPE Alletraがその連携を支援するインフラになるとした。

日本ヒューレット・パッカード 執行役員 データサービス事業統括本部長 兼 HPC・DATA&AIソリューション事業統括本部長 根岸史季氏

 今回同社が発表したHPE Alletra 4000シリーズは、サーバーとストレージをセットにして新しい付加価値を提供するストレージサーバー製品だ。ハイブリッド環境を意識したユーザビリティやルックアンドフィール、利用体系を維持しつつ、「複雑化するデータ活用の特性を踏まえ、さまざまなソフトウェア定義型のソリューションと組み合わせて柔軟性の高いデータ利活用基盤を提供する」と、根岸氏は述べている。

 SSDやHDDの搭載本数は、一般的なサーバーの場合は2~8本程度だが、HPE Alletra 4000シリーズでは20~48本で、大量のデータを取り扱うワークロードにも対応する。ソフトウェアと組み合わせてソフトウェア定義型ストレージを構築することで、クラウドと同様の性能とスケーラビリティ、管理性を備えたデータ活用基盤が実現する。

データストレージサーバーとは

 同シリーズは、NVMe対応オールフラッシュデータストレージサーバー「HPE Alletra 4110」と、NVMe/SSD/HDD対応ハイブリッドデータストレージサーバー「HPE Alletra 4120」の2製品で展開する。

 HPE Alletra 4110は、高速なデータアクセスが必要なワークロードに向けたデータストレージサーバーで、第4世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサー(最大2個)とDDR5メモリー(最大3TB)を搭載。SFF規格のNVMe SSD(最大20本)搭載モデルと、新規格のEDSFF SSD(E3.S 1T 最大20本)搭載モデルを用意する。価格は501万0200円(税込、以下同)から。

 HPE Alletra 4120は、大量データの管理や保存が必要なワークロードに向けた製品だ。第4世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサー(最大2個)とDDR5メモリー(最大6TB)を搭載し、ドライブはLFF規格のSSD/HDDを最大28本(前面24本、背面4本)、SFF規格のSSD/HDDを最大54本(前面48本、背面6本)搭載可能だ。1台(2U)で最大829.44TB、1ラック(42U)で最大17.4PBのデータが搭載できる(SFF 15.36TB SSD利用時)。価格は397万9500円から。

HPE Alletra 4110の概要
HPE Alletra 4120の概要

 日本ヒューレット・パッカード データサービス事業統括本部 ストレージ製品本部製品部 エバンジェリストの山中伸吾氏は、HPE Alletra 4000シリーズについて、「クラウドの当たり前を自社内で実現するソリューションだ」と語る。

 「データ量が増えるとコスト負担も大きくなることから、クラウドを見直す動きが出てきている。ただ、クラウドの利便性や管理性、スケーラビリティに慣れてしまうと、オンプレミスに戻ることなど考えられないという意見も多い。そこで、新製品のHPE Alletra 4000シリーズと、従量課金制のプラットフォーム『HPE GreenLake』、そしてソフトウェア定義型ストレージ(SDS)を組み合わせ、自社内でクラウドの当たり前を実現してもらいたい」(山中氏)。

日本ヒューレット・パッカード データサービス事業統括本部 ストレージ製品本部製品部 エバンジェリスト 山中伸吾氏