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インフォアジャパン新社長、「5年間で100社のSaaS新規導入を目指す」

パートナーエコシステムの増強やサービス部門の強化なども図る

 インフォアジャパン株式会社は2日、新たな代表取締役社長に黒塚明彦氏が就任したことを発表し、同氏による経営戦略説明会を開催した。

インフォアジャパン 代表取締役社長 黒塚明彦氏

 黒塚氏は、IT業界で30年以上のキャリアを持つ人物。そのうち23年間は、SAPジャパン株式会社や日本ティブコソフトウェア株式会社、ダッソー・システムズ株式会社など、さまざまなIT企業の日本法人でマネジメントやリーダーとしての役割を担ってきた経験がある。

黒塚新社長の経歴

 黒塚氏はまず、インフォアジャパンの2022年度(1月~12月)を振り返り、「オンプレミス型ソリューションから業界特化型SaaSソリューションへのシフトが加速している」と述べた。同社では、2018年より日本市場にてマルチテナントSaaSソリューションの導入を開始しており、現時点で日本市場における既存顧客約400社のうち、SaaSの顧客は45社だという。「オンプレミスでInforを利用している顧客のSaaS移行が進んでいる。2022年度は4案件のプロジェクトがスタートした」と黒塚氏は話す。

 また、新規顧客による業界特化型SaaSの導入も増加中で、「今年度は4案件を手掛けており、年末までにあと数社が導入する予定だ」(黒塚氏)という。

インフォアジャパンの2022年度

 2023年度からフォーカスする事業については、「業界特化型SaaSソリューションをさらに強化するほか、パートナーエコシステムを増強する」としている。

2023年度からのフォーカス

 まず、SaaSソリューションについては、「2023年~2027年の5年間で、さらに100社の業界特化型マルチテナントSaaSの新規導入を目指す」と黒塚氏。これには、新規顧客だけでなく、既存顧客へのSaaSソリューションの提供も含まれるが、既存顧客の400社という数字はインフォアジャパンの26年間の歴史の積み重ねで獲得してきた数であるため、5年で100社という数はかなり大胆な目標だ。それでも黒塚氏は、「十分達成可能なペースで営業活動ができている」と話す。

インフォアが提供する業種特化のクラウドソリューション(赤枠は日本市場の注力分野)

 また、ERP製品だけでなく、SCMやPLM、WMS、BIなどのエッジソリューションにも力を入れるほか、業務内容をシステムに合わせる「Fit to Standard」や「Infor Agility」といった導入手法により、「1年以内でのカットオーバーを実現し、顧客に早く投資対効果を実感してもらいたい」としている。

 さらに、最近では売上規模が500億~1000億円前後の中堅企業からDX推進に関する引き合いが増えているとして、この市場の開拓にも注力する。「中堅企業は、DX推進に投資できる金額もある程度限られており、社内の情報システム部門が導入を進めるとしてもリソースには限界がある。そのような企業では、あるべき姿に向けてベンダーが開発を進める、従来のウォーターフォール型のシステム開発よりも、Fit to Standardでインフォアが提供する機能を使ってみるというアプローチに賛同する顧客が多い」と、黒塚氏は述べている。

 一方のパートナーエコシステムの増強に向けては、今後パートナーと連携した共同での販売やシステム導入、導入後の支援を実施する。また、既存パートナーへの営業トレーニングやコンサルティングトレーニング、導入技術支援も強化する予定だ。

 5年で100社への導入を目指すとなると、既存パートナーだけでは困難なため、新規のチャネルパートナーや販売導入パートナー、グローバルアライアンスパートナーも増強する。特に、グローバルアライアンスパートナーとはすでにグローバルで契約を結んでいるものの、日本でその契約を十分生かしきれなかったとして、国内でも連携を強化する。

 もちろん、パートナーだけでなく、インフォアジャパン社内の導入支援部門であるグローバルプロフェッショナルサービス部門も強化する。また、インフォアではアジアパシフィック地域に複数の開発拠点を構え、それぞれ2000人以上のエンジニアを抱えているが、「これまで言語の問題もあってあまり活用できていなかった」と黒塚氏。その拠点の活用も今年から始めており、「オフショア機能を有効活用することで、導入スピードを上げ、導入コストの削減を実現していきたい」としている。