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JTOWERやNTT東日本など4社、大江戸線・都庁前駅にてローカル5Gを用いた実証プロジェクトを開始

 株式会社JTOWER、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)、FCNT株式会社、ニューラルポケット株式会社の4社は19日、東京都交通局の協力のもと、都営地下鉄大江戸線 都庁前駅にて、5Gシステムを活用した実証プロジェクトを開始すると発表した。

 このプロジェクトは、東京都交通局とJTOWERとの間で2021年8月に締結した「大江戸線都庁前駅構内における5G試行整備及び検証等の事業に係る協定」に基づき行われるもの。同協定ではすでに、都庁前駅にて、インフラシェアリングによるキャリア5Gの電波環境整備を実施し、5月よりサービス提供が開始されている。

 今回はさらに、ローカル5Gについても新たに実証環境を駅構内に構築し、5G環境下において、デジタル技術を活用した新たなユースケースの可能性に関する検証を行うとした。

 まずシステムとしては、都庁前駅の、車両の入線するホーム、利用者が通過する改札付近、設備維持管理のための機械室にローカル5G環境を整備する。整備時には電波シミュレーションを実施するとともに、スループット測定などの技術的検証も行い、プライベートネットワークとしてのローカル5Gを活用した地下鉄施設内の保守点検作業や、顧客向けサービスについて検証するという。

 具体的には、まず、保守用車に設置した高精細カメラでトンネル内の線路や天井、壁などを撮影し、駅構内にある記録装置にローカル5G等で伝送するとともに、AI解析による異常検知などを行い、効率的な維持管理への活用について検証する。実施時期は、11月19日、20日、12月3日、4日各日の終車後を予定している。

 2つ目としては、駅係員が駅構内の状況をより把握しやすくするため、AIカメラで撮影した駅構内の高精細な映像を、ローカル5G等を活用して駅係員のモバイル端末へリアルタイムで伝送する。あわせて、映像解析により、車いすや白杖(はくじょう)の駅利用者を認識して通知するなど、駅係員業務への活用について検証するとした。こちらは、都庁前駅B2階改札付近で行われ、期間は10月21日から2023年1月5日までを予定する。

 また3つ目として、データ容量の大きい動画広告コンテンツ等を、ローカル5G等を活用してAIサイネージに伝送する取り組みも実施する。さらに、サイネージに内蔵されたカメラにて、駅利用者の視聴状況の計測や広告内容に対する反応の確認を行い、効果的な情報発信への活用を検証するとのこと。こちらも都庁前駅B2階改札付近にて、10月21日から2023年1月5日までの期間で行われる予定。

 最後の取り組みは、ARを用いた駅利用者の移動支援への活用。出入り口からの経路が複雑な地下鉄駅構内における移動を支援するため、ARを用いたナビゲーションを実施する。5Gを活用し、駅構内のナビゲーションデータを駅利用者のスマートフォンに伝送して、そのデータと駅利用者の位置情報を重ね合わせることで、目的地までの案内ルートを表示する。こちらの実施場所は都庁前駅B2階改札外、B1階となり、実施期間は10月21日から2023年1月5日までの予定だ。

 なお、これらの取り組みにおいて、JTOWERは実証プロジェクトの企画・統括、ローカル5G環境の技術検証を担当。NTT東日本はローカル5Gシステム「ギガらく5G」の提供、ローカル5G端末接続検証などを行う。またFCNTは、ローカル5G対応AIカメラを用いた実証プロジェクトの構築・実施を、ニューラルポケットはAIサイネージの提供をそれぞれ担当する。