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KDDIテクノロジー、AI画像認識技術を活用したサビの自動検出技術を開発

 株式会社KDDIテクノロジーは19日、設備・施設点検を自動化する取り組みとして、AI画像認識技術を活用した錆(サビ)の自動検出技術、濃さ(濃度)と腐食面積率を分析する技術をそれぞれ開発したと発表した。これらの新技術とドローン技術と組み合わせることで、人による高所作業を減らし、安全な設備・施設点検の実現を目指すという。

 鉄塔等のサビの点検は、一般的に、高所に人が登って点検を行うため、高所作業による命の危険性があるという。また点検においては、目視による撮影写真のサビ品質確認や点検報告書の作成など、単純作業に多くの人手と時間を要しているとのこと。

 そこでKDDIテクノロジーでは、こうした課題を解決するために、複数の新技術の開発を行った。まず、深層学習(ディープラーニング)を用いた画像認識技術を活用し、サビの自動検出を実現する検出エンジンを開発している。同エンジンでは、サビの輪郭まで含めた領域を検出可能だ。

 2つ目の開発技術は、サビの明度と彩度の情報からサビの濃さを定量化する技術。同技術では、独自の物理モデルを用いて濃さ(濃度)に変換しており、人が目視で感じる濃さの感覚に近い値を出力できる。また、サビの濃さに応じてグラデーション表示で検出結果が表示されるので、サビの色情報に関する詳細な分析が可能。サビの濃さ、明度、彩度のヒストグラムで視覚的に確認を行えるようにしている。

 あわせて、画像全体に対するサビの割合を自動計算して数値で表示する、サビの腐食面積率の分析技術も開発された。

 KDDIテクノロジーによれば、これらの開発技術を電力鉄塔や通信鉄塔のサビ点検に適用すると、「サビの劣化度のランク」を濃度と腐食面積率の2軸の観点から4段階で定量化することで、しきい値による自動判定が可能になるとのこと。同社は現在、この2軸で自動分析できるサービスを商用化に向けて開発しており、2023年初旬のリリースを予定している。