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NEC、オール光通信分野の事業を強化、オープン仕様に準拠した光伝送装置4製品を発売

 日本電気株式会社(以下、NEC)は15日、ネットワークから端末に至るすべての通信を光ベースの技術で構築する「オールオプティカルネットワーク」の市場創出を目指し、同分野の事業を強化すると発表した。

 その第一弾として、NECでは初となる光伝送装置のオープン仕様(Open ROADM、TIP Pheonixプロジェクト)に準拠した、オープン光トランスポート装置「SpectralWave WXシリーズ」4製品を、10月1日に出荷開始する。

 従来の光伝送装置は、通信性能を優先した垂直統合型が主流で、同一ベンダーの機器を使ってネットワークを構築することが一般的だったが、SpectralWave WXシリーズはマルチベンダー構成に対応したオープンな光伝送装置となり、ネットワークを構成する機器を機能ごとに分割するディスアグリゲーション(機能分離)を実現している。これにより、必要な機器を複数のベンダーから調達し、組み合わせて利用できるため、顧客のニーズに合わせて機器構成を変更できる。

 また、オープン仕様に準拠することで、以前から光伝送ネットワークに用いられているROADM構成と、IOWN Global Forumで検討が進められているOpen APN(Open All-Photonics Network)で定義された、APN-T、APN-G、APN-Iの各機能ブロックをつなぐ最新の構成を、製品の配置変更により対応できる。

 例えば、光信号の折り返しをする際、一般的にはAPN-T、APN-G、APN-Iの各機能ブロックの製品をすべてつなぐ必要があるが、SpectralWave WXシリーズはニーズに応じて、APN-T(WX-T)とAPN-G(WX-S)の2製品をつなぐ構成で光の方向を変更し、折り返しができる。これにより、柔軟かつ経済的なネットワークの構築を可能にする。

「SpectralWave WXシリーズ」の概要

 SpectralWave WXシリーズ製品のうち、WX-Dシリーズ(多方路・可変利得アンプ)は、中継伝送路に接続し、伝送距離に応じて光の増幅を行う装置。機能ブロックAPN-Iに相当する製品で、複数のWX-Dシリーズを組み合わせることで、多方路への切り替えができ、メッシュ、リング、リニアなどのさまざまなトポロジーに対応できる。

 WX-Sシリーズ(合分波・Add/Drop)は、送信時は複数の光の波長を集め、受信時は一つの光の波長を分ける装置。機能ブロックAPN-Gに相当する製品で、行き先が分岐する場合は、波長を取り出すこともできる。柔軟なネットワーク設計を可能にするCDC機能に対応した、Add/Drop機能(波長を加えたり取り出したりする機能)を搭載する。

 WX-Tシリーズ(Whitebox Transponder/Packet Switch Transponder)は、外部接続装置から受信した電気信号を光信号に変換する、または外部装置へ電気信号を送信する場合は光信号から電気信号へ変換する装置。機能ブロックAPN-Tに相当する製品で、変換の際、波長多重するために適正な信号フォーマット・信号レベル・信号光波長に変換できる。

 WX-Aシリーズ(遠隔制御・光スイッチ)は、WX-Tシリーズと同様に、電気信号と光信号の変換や光スイッチを行う装置。また、センターサイトからリモートサイトへ遠隔操作にて光信号の波長を変換できる。

 また、NECではこれまで培ってきた、大規模キャリアネットワークにおけるさまざまな光伝送装置の納入実績とノウハウを生かし、オープンな光伝送装置を使用したマルチベンダー環境でのシステムインテグレーション・ネットワーク運用サービスも提供する。

 NECでは、オールオプティカルネットワークをデジタルツインの実現や、新サービスや産業の創出、グリーン化をはじめとする社会課題の解決を支える次世代インフラとして捉え、製品の提供を通じて、大容量、低遅延、多接続に加え、高度なセキュリティ、ロバスト性、省電力性を備えたオールオプティカルネットワークの実現に貢献すると説明。2027年度にオープン光伝送市場においてシェア25%を獲得し、オールオプティカルネットワーク事業のリーディングカンパニーになることを目指すとしている。