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ctcとAcompany、ビッグデータ分析とプライバシー保護を両立する秘密計算の商用化に向けた共同研究を開始

 中部テレコミュニケーション株式会社(以下、ctc)と株式会社Acompanyは19日、秘密分散型MPC(マルチパーティ計算)による秘密計算(以下、SMPC)の商用化に向けた共同研究を開始すると発表した。

 秘密計算とは、データを外部に開示することなく秘匿したまま計算・分析する技術で。秘密計算の一手法であるSMPCは、複数社間のデータ活用に適している。SMPCの仕組みは、生データをシェアという無意味なものに分割して複数台のサーバーに送信し、シェアのままサーバー上で計算・分析を行い、生成された結果を合わせて結果として生成する。

 この全ての工程において、生データは秘匿化されたままであり、もし一部のシェアが流出したとしても、生データは推測できないことから、データを安全に計算・分析することができる。また、この際に、サーバーの管理は1社だけではなく複数社で行うことで、より安全性が向上する。

 Acompanyが開発するQuickMPCは、秘密分散とMPCを組み合わせたSMPCによる秘密計算エンジンで、複数が保有するデータを秘匿化したまま計算・分析できるため、プライバシー保護や漏えいリスクを低減させることができる。

 ctcとAcompanyでは、昨今のDXにより加速したビッグデータ活用と、改正個人情報保護法や一般データ保護規則など、個人識別符号の使用にかかる規制強化との対立した課題を、SMPCであれば両立し、解決できることが期待されていると説明。一方、SMPCの実用には、複数のサーバーを用いて分散管理をする必要があるとして、共同研究ではctcの設計から運用までをワンストップで提供するクラウド基盤を生かし、QuickMPCの商用利用を検証していく。研究では2台のクラウドサーバーを用意し、1台をctc、もう1台をAcompanyが管理することで、サーバー管理者を分散させる基本設計を行う。

 この設計上で、SMPCの計算の速度や正確性、運用ルール、トラブル対応などの実用性を双方で検証することで、商用利用を目的としたSMPCによるセキュアなクラウドサーバーサービスを検討する。

 共同研究を通じて、ctcとAcompanyは、分散型データ管理システムの構築と安全なサーバー管理方法、そして商用化に向けた体制の確立を目指す。共同研究期間は2カ月間とし、ctc内のデータセンターにて共同研究を予定。今後、10月に共同研究の成果発表を予定する。