ニュース
国内ネットワーク機器市場、シスコが半数近いシェアを維持~IDC Japan調査
2022年7月5日 10:00
IDC Japan株式会社は4日、イーサネットスイッチ、ルーター、企業向け無線LAN機器からなる国内ネットワーク機器市場について、2021年のベンダーシェアを発表した。
2021年の国内ネットワーク機器市場については、多くの困難に直面した厳しい年だったと分析。GIGAスクール向けネットワーク構築案件の終息や、5Gサービス向けモバイルバックホール構築の一巡感に加えて、半導体の供給不足を中心とするサプライチェーンの問題が重くのしかかったとしている。ただし、こうした困難にもかかわらず、企業向けと通信事業者向けを合わせた国内ネットワーク機器市場全体では、前年から2.1%増とプラス成長を達成している。
ベンダー別では、国内ネットワーク機器市場首位のシスコシステムズは、製品確保に苦労しながらも無線LANを中心にネットワーク機器全体で前年から1.7%売り上げを伸ばし、48.1%と半数近いシェアを維持した。また、アライドテレシスも2021年に売り上げを伸ばしており、シスコシステムズと同様に無線LAN機器を中心に売り上げを伸ばし、全体で2.6%増を実現した。アリスタネットワークスは、メガクラウド事業者を中心とした事業者の国内データセンターへの旺盛な設備投資需要を獲得し、ネットワーク機器市場全体の順位が2020年の8位から4位へと上昇した。
IDC Japanでは、サプライチェーンの問題は、今なお終息の見込みは立っておらず、ベンダーにとっても導入する企業にとっても重くのしかかっていると指摘。一方で、足元の製品調達に企業もベンダーも関心が向きがちであり、企業ネットワークの在り方に関する議論が滞る傾向も見られるとしている。
IDC Japan株式会社のグループディレクターである草野賢一氏は、「Future Enterprise(未来の企業)に向けて、企業の取り組みが進み続ける中で、企業ネットワークの適応と変革もこれ以上後れを取るわけにはいかない。そのためにも、2022年は変革に向けてベンダーと企業によるネットのあり方に関する検討を再度加速すべきである。製品が十分に供給されない状況を、議論と新たな技術を導入するための時間的猶予が得られたと前向きに捉え、自社のビジネス変革に適したネットワークアーキテクチャは何か十分に検討することを推奨する」と述べている。