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東芝インフラシステムズ、東京大学とローカル5Gに関する共同研究を実施

 東芝インフラシステムズ株式会社は23日、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻 中尾研究室(以下、東京大学)と、ローカル5Gの電波遮蔽エリアを解消する技術確立を目的とした共同研究を3月1日に開始したと発表した。研究期間は8月31日まで。

 共同研究では、東京大学のローカル5G基地局と、東芝インフラシステムズ独自の分散型アンテナシステム「DAS(Distributed Antenna System)」を活用し、電波遮蔽エリアを解消する技術ノウハウや、DAS利活用の有効性の検証を行う。

 ローカル5Gは、高速・大容量・低遅延・多接続という5G無線の特徴に加え、特定のエリア・用途で事業者が独自に構築・運営できるという自営無線ならではの柔軟なエリア設計が実現できる特徴があり、工場やプラント、ビル施設など様々な領域での活躍が期待されている。

 しかし、実際の工場や屋内でのローカル5Gエリア構築では、障害物などの電波遮蔽の影響で通信対象と接続できない場合や、敷地外へ電波が漏れて隣接する無線局などに悪影響を与える可能性があるといった課題がある。

 共同研究では、東京大学が研究開発したローカル5G基地局と、東芝インフラシステムズ独自のローカル5G用DASを接続。4月20日に基地局とDASと端末とを繋げた通信試験を実施し、DASからの電波発射と端末との通信確立を確認したという。今後は、遮蔽物による不感エリアの解消や、複数のDAS子機を配置したカバーエリア内を移動する端末の、通信安定性の確認を行う。また、電波遮蔽エリアの解消と敷地外への電波漏えいを少なくする、効率的なエリアカバー技術の確立を目指すとしている。

 東芝インフラシステムズは、3G世代から、ビルや地下などの電波が届きにくい屋内環境、駅やスタジアムなどの屋外環境などで活用しているDASを多数製造・納入しており、これまで蓄積した無線技術を活用して、ローカル5G用のDASを開発したと説明。東京大学が研究開発したローカル5G基地局と、東芝インフラシステムズのDASを組み合わせたシステムは、2022年度に実施する官公庁道路施設のローカル5Gシステムの技術実証への参加が決定しており、屋内外での安定した無線システムの構築技術の確立へさらなる技術向上を進めるとともに、日本国内のローカル5Gの普及に貢献していくとしている。