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アイ・オーが改正電帳法対策製品を発売、ソリューション販売企業への転身を目指す第1弾

 株式会社アイ・オー・データ機器(以下、アイ・オー)は27日、電子帳簿保存法の改正に伴う電子取引情報の保存に適した外付けブルーレイディスク(BD)ドライブ「BRD-UT16D」、ファイル名リネーム&BD書き込みアプリケーション「命名くん」、および、これらのセット商品を販売すると発表した。

 同社は2022年2月、創業者で、現在は会長である細野昭雄氏が代表の資産管理会社により、MBO(マネジメント・バイ・アウト:経営者買収)が実施され、非上場企業となることが発表されている。

 代表取締役社長の濵田尚則氏は、「この春、アイ・オーは生まれ変わる。2月9日に創業者で現会長 細野によるMBO実施を発表させていただいたが、3月末、無事にTOBが完了した。いよいよこの7月から非公開会社に変容する。狙いは、これまでの部品売りとして量を売るビジネスから、ここ数年指向してきた、製品にソフト、サービスを組み合わせて販売する“ソリューション売り”へ転換を果たし、業績を拡大すること。今回の新製品は、電子帳簿保存法を軸としたソリューション販売の第1弾となる」と述べ、今回の新製品が持つ意義について説明した。

アイ・オー 代表取締役社長の濵田尚則氏

 今回発表したのは、電子帳簿保存法に対応した電子取引データを光ディスクに保存するためのBDドライブ「BRD-UT16D」と、改正電子帳簿保存法で義務づけられた要件を満たした保存ができるソフトウェア「命名くん」の2つ。「BRD-UT16D」と「命名くん」はセットでの提供も行う。

 電子帳簿保存法は、大企業だけでなく、中小企業、個人事業主など対象となる人が幅広く、詳細をよく理解している人から、全く情報がない人まで理解度がさまざまだが、新製品は、知識がない人でもトラブルなく電子帳簿保存法に対応できるよう支援していくものとなっている。

 このうち「BRD-UT16D」は、一回記録用の光ディスク(追加記録は可能)にのみ書き込めるようになっているBDドライブ。繰り返し上書きできる光ディスク(RWやREメディアなど)を認識しないため、意図しないデータの消去や上書き、誤操作による電子取引データの損失を未然に防げるという。価格はオープンプライス。

 今回、電子帳簿保存法で定められている電子取引データを7年保存することを守るために、米Millenniata社が開発した新しい記録メディア「M-DISC」を、5枚同梱して提供する。M-DISCは、1枚あたり50GBの容量に、約48万枚分の電子取引データを保存可能。光・熱・湿度などによる経年劣化に強く、数百年にわたってデータを保存することを目指して開発されたため、長期保存が必要なデータ保存に向いているという。

繰り返し上書きできる光ディスクは認識しないため、誤操作によるデータ損失を防止できるという
保存の確実性を高める「M-DISC」を同梱
BRD-UT16D/M
ドライブの外観

 一方の命名くんは、電子帳簿保存法にのっとってデータを保存する際に起こりがちなトラブルの回避機能を持っているアプリケーション。受領した見積書を見て、取引先名や金額を確認しながらリネームを行おうとすると、ファイルを開いているためリネームができない事態に陥りがちだが、命名くんであれ、ファイルを開いて内容を確認しながらリネームすることができる。

 また、複数の担当者がリネームする場合、担当者によってゆれが出て、必要なデータを検索できなくなるといった事態が起こりがちだ。そこで金額の位取りカンマの有無の設定や、取引先名を事前登録しておくことで、ゆれのない状態を保てるように支援する。設定情報は社内での共通設定として登録できるので、一度登録しておけば、社内の担当者全員が取引先名をクリックするだけで、共通したリネームが行えるようになるとした。

 「当社の社名も英語表記、カタカナ表記などゆれが起こりがちだが、あらかじめ登録したものを活用することで、ゆれのないリネームが行えるようになる」(事業本部 企画開発部 企画開発3課 副部長兼課長の中村一彦氏)。

命名くんの特長
アイ・オー 事業本部 企画開発部 企画開発3課 副部長兼課長の中村一彦氏

 データを保存するにあたっては、紙の帳票と同じく、電子データも7年間の保存義務がある。受領した請求書を個人利用のPCに保存していると、操作ミスや故障などの要因で消えてしまうリスクがある。そこで命名くんでは、100年保存できるM-DISCに定期的に保存し、長期保存することを推奨。PCやHDDなどのマシントラブルでデータが消えてしまう事態を回避する。

 価格はダウンロード版の場合、1台用ライセンスが3600円から。パッケージ版は、3台ライセンスで8640円から。また、6カ月の利用期間の体験版も提供していく。

 なおアイ・オーでは、電子帳簿保存法対応ソリューションとして、命名くん、タイムスタンプアプライアンスと連動して動作する、NAS用アプリケーションの提供も計画。タイムスタンプソリューションを必要としている人向けには、セイコーソリューションズ製のタイムスタンプ専用端末も提供するとのことだ。

NAS用パッケージの提供を計画
タイムスタンプソリューションも提供