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KDDI、三菱重工、NECネッツエスアイの3社、サーバーの液浸冷却によるコンテナ型データセンターで消費電力43%減に成功

2024年度の商用提供を目指してKDDI小山TCで試験運用

 KDDI株式会社、三菱重工業株式会社、NECネッツエスアイ株式会社の3社は29日、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置を活用し、データセンターを小型コンテナに収容して稼働させる実証実験に成功したと発表した。

 3社では、サーバーやデータセンターに対する需要が高まる中で、サーバーが発する熱を高効率の冷却装置で冷却することで消費電力量を抑制し、環境に与える影響を最小限にとどめることが求められていると説明。こうした課題に対し、3社が持つ技術や知見をそれぞれ持ち寄って解決していくことに合意し、実証の実施に至ったという。

コンテナ型スモールデータセンター

 実証実験は、2021年6月21日から三菱重工のYokohama Hardtech Hubにおいて、50kVA相当のサーバーなどのIT機器と液浸冷却装置を12ftのコンテナに収容して実施。設置が容易なコンテナ型スモールデータセンターを実現することで、データセンターの設置環境や条件を大きく緩和するほか、既存のデータセンターの処理を補完できるとしている。

 実験では、従来の空調空冷の代わりにオイル状の液体冷媒と外気を使用することで、従来型のデータセンターと比較して43%の消費電力削減、PUE 1.07を実現した。

 3社は、実証のコンテナの中で稼働させた液浸冷却装置について、大規模なデータセンターへの導入に向け、4月1日からKDDI小山テクニカルセンター(以下、KDDI小山TC)での試験運用を開始する。

 KDDI小山TCでの試験運用では、冷却効率の立証として、最適化されたラジエーターや外気冷却装置を開発し、データセンターでの実装を想定した排熱処理能力の向上と省電力化を目指す。日本の厳気象などを想定し、冷却能力が十分に機能することを確認する。

 また、高可用性の実現に向け、液浸冷却装置および外気冷却装置に可用性を持たせ、ティア4レベルのデータセンターでの実装設計を具現化し、安定稼働の成立性を検証する。

 さらに、保守体制の検討も含めた実践的な運用を行い、国内での商用普及や導入計画の具体化を図る。KDDIでは、2024年度中に液浸冷却装置の商用提供を目指すとしている。

液浸冷却装置
液体で機器を冷却する様子