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トゥモロー・ネット、旭化成ネットワークスの延岡データセンターで実施する液浸サーバーの実証実験に参画

 株式会社トゥモロー・ネットは10日、宮崎県延岡市、旭化成ネットワークス株式会社、ユニファイドコミュニケーションズ株式会社と共同で、液浸冷却技術を活用したコンテナ型データセンターの実証検証を開始したと発表した。

 同検証は、延岡市にある旭化成ネットワークスの延岡データセンターを拠点に、脱炭素化および高効率ITインフラの実現を目指す地域連携型の取り組みとなる。その中で、トゥモロー・ネットは液浸冷却コンテナ型データセンターにおける液浸サーバーの実証検証に取り組む。

 延岡市は、九州地方における先進的なデジタルインフラ整備と脱炭素社会の実現を目指すモデル都市として、官民連携による取り組みを積極的に進めている。中でも、地域に根ざしたデータセンターの利活用や、再生可能エネルギーを活用した環境負荷の少ないICTインフラの構築は、重要な施策の一つとなる。こうした地域の取り組みに共鳴し、トゥモロー・ネットは延岡市および旭化成ネットワークス、ユニファイドコミュニケーションズと連携のもと、次世代型ITインフラの共創を目指すとしている。

 今回の実証では、液浸冷却技術を採用したコンテナ型ITインフラの冷却性能、省エネ効果、運用性、環境負荷低減などを、多角的な観点から検証する。

 トゥモロー・ネットはこれまで、高性能コンピューティングおよびデータセンターソリューションにおける設計・構築ノウハウをもとに、液浸冷却分野にも注力してきた。今回のプロジェクトにおいてトゥモロー・ネットは、液浸冷却に最適化されたサーバーソリューションの設計・提供・評価を通じ、延岡市および旭化成ネットワークス、ユニファイドコミュニケーションズとの連携のもと、次世代データセンターインフラの社会実装に向けた技術検証を進めていく。

 ユニファイドコミュニケーションズはこれまで、通信ネットワークの開発およびIP電話インフラの開発に注力してきており、プロジェクトにおいてネットワーク関連の開発の経験を生かし、液浸冷却を利用した最先端のAI監視カメラサービスの設計・開発・評価を通じて、延岡市および旭化成ネットワークス、トゥモロー・ネットとの連携のもと、次世代データセンターインフラの社会実装に向けた技術検証を進めていくとしている。

 旭化成ネットワークス株式会社は、次世代のITインフラクーリングシステムとなる液浸コンテナデータセンターの実証検証を、KDDI株式会社、三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)、デル・テクノロジーズ株式会社の支援を受け、共同で開始することを5月23日に発表している。

 旭化成ネットワークスでは、AIやIoTの進展に伴って、省スペースかつ高効率な冷却技術が求められている状況を踏まえ、これまで培ってきたネットワーク技術、データセンター運用ノウハウに冷却技術を融合させ、脱炭素社会の実現に貢献するとともに、次世代のエッジ型データセンターソリューションを見据えた液浸コンテナデータセンターの実証検証を、デル・テクノロジーズをはじめとする複数のパートナー企業による支援のもと行うとしている。

 実証検証では、旭化成ネットワークスが宮崎県延岡市に所有する延岡データセンターにおいて、KDDIと三菱重工およびデル・テクノロジーズの支援のもと、液浸冷却システムを搭載したコンテナ型のITインフラを構築し、その冷却効率、省エネルギー効果、運用性、環境性能などを多角的に評価する。

 主な検証項目は、液浸冷却による消費電力の削減効果、従来の空冷方式との冷却性能比較、高密度実装における冷却効果、コンテナ型による設置の容易性・柔軟性、遠隔監視・運用管理の効率性、環境負荷低減効果(冷却材の安全性、再利用性など)。

 実証検証の結果を踏まえ、旭化成ネットワークスは液浸コンテナデータセンターの実用化に向けた検討を進めていくと説明。将来的には、省エネ・高効率な次世代ITインフラの普及を推進し、脱炭素社会の実現に貢献するとともに、エッジコンピューティング環境における新たなソリューションの提供を目指すとしている。