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NECが新AI技術「ルール発見型推論技術」を開発、従来手法よりも少ない数で精度の高いルールを導出可能に

 日本電気株式会社(NEC)は25日、予測の根拠を分かりやすいルールの形で示せるAI技術「ルール発見型推論技術」を開発したと発表した。製造業や小売業、金融業などの領域において、製品不良要因の事前特定や顧客の購買行動分析などに貢献するとしている。

 製品の品質管理や顧客分析など、データに基づく現状分析はさまざまな業界で行われており、近年では、AIを活用した製品の品質状況の予測や顧客の購買行動予測なども行われている。こうした取り組みでは、将来予測とその予測結果をもたらす要因の提示をAIが行い、改善策や対策は、専門家の経験に基づいて立案されているのが一般的だ。しかし人手不足の深刻化や熟練技術者や専門家の高齢化が進む中、技術や経験、ノウハウを伝承するとともに、AI技術には、将来予測だけでなく、施策立案まで含めてトータルな支援を行えることが求められるようになったという。

 今回開発された技術は、こうした課題の解決に向けた取り組みの一環で、過去事例を正解データとして学習し、結果と結果につながる要因と発生条件を見出だして、「どの要因がどのような条件のとき、何が起きるか」をルールとして構築することにより、各要因の改善条件を示せるようにしている。

新技術の効果

 例えば、適用が期待される領域として、製造業における製品不良の要因分析が挙げられている。この領域では、原材料の成分配合や処理装置の設定など大量の要因が影響するため、構築されるルールが膨大になるので、ルールを網羅的に調査して、各要因の改善条件まで導き出すことは現実的ではなかったという。

 こうした場合に新技術を用いると、各ルールの優先順位付けを独自の方法で行うことにより、より少なく、より高精度なルールを探索できるとした。具体的には、実際に製品不良が発生したデータと発生しなかったデータを正解として学習させ、ルール群を構築。そこから各ルールの優先順位付けを独自の方法で行い、さらに並列計算技術を応用しいて、必要十分なルールを少ない計算量で選別できるように設計している。

 オープンデータを用いた実験では、事例全体をカバーするために既存手法で50個近いルールが必要だったものが、本技術では十数個のルールで達成できることを確認しているとのことで、NECでは、従来手法よりも少ないルールで、より精度の高いルールを導き出せるようになると説明している。

 また技術検証では、欠陥品に影響する要因を特定できるだけでなく、例えば「材料の温度が100度より高く、かつ設備の圧力が20hPaより高いとき、80%の確率で故障する」など、従来は専門家が想定していなかった要因が欠陥品発生に影響する可能性も見いだせたとのこと。

 このほか、顧客の購買行動分析における技術検証では、過去の顧客の購買データや店舗施策データなどを基に、新規顧客から優良顧客へ何をきっかけに変化するか、その条件が可視化され、具体的な施策立案支援ができることが確認されたとしている。

ルール発見型推論技術による施策立案支援