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“違う企業”になったIBM ハイブリッドとAI重点で好調な決算に

 コロナ禍の中でも、AppleやMicrosoftなど業績好調のIT企業は多い。中でもIBMは、売上高で10年ぶりの成長率を記録して、アナリスト予想を上回る結果を出した。ハイブリッドクラウドとAIにフォーカスして進めてきた戦略の成果が出始めているようだ。

約10年ぶりの高成長率

 IBMが1月24日に発表した2021年第4四半期(2021年10~12月)の決算は、売上高が前年同期比6.5%増の167億ドル。1株あたり利益は3.35ドル、GAAPベースでの税引き前利益は183%増の29億ドルとなった。いずれもアナリストの事前予想を上回り、売上高の6.5%増は2011年第3四半期以来の高い成長率だ。株価も一時7.5%上昇し、市場も好感した。

 この決算は、昨年11月に完了したKyndrylの分社の影響という点から注目されていた。数字はKyndrylの分を除外して計算されている。Kyndrylは、IBMのマネージド・インフラストラクチャー・サービス事業で、世界60カ国以上に展開し、分社前で200億ドル近い規模の売り上げがあった。

 IBMは2020年秋、同事業をグローバルテクノロジーサービス(GTS)事業から分社化し、独立したSI企業にすると決めた。IBMとKyndrylそれぞれが、より自由、広範囲にビジネス展開する戦略だ。今回、その分社後初めての四半期決算だった。

 CFO(最高財務責任者)のJames Kavanaugh氏は決算発表の中で、「Kyndrylの分社でIBMは戦略的に次の一歩を踏み出した。集中と財務体質の強化によって、新しい価値の創出を進める」と説明する。そして、「(IBMは)違う企業として2021年を終えた」と変身ぶりをアピールした。