ニュース

NTTデータ、勘定系システムをオープン化する「PITON」の製品化を決定

 株式会社NTTデータは20日、メインフレーム上に構築されたシステムをオープン化するためのフレームワーク「PITON(ピトン)」を、2024年から製品として提供すると発表した。

 PITONは、金融機関の勘定系システムなど、高い信頼性が求められるシステムを安全にオープン化できるフレームワークで、メインフレーム向けに開発されたアプリケーションをオープン系の基盤上で稼働させることを可能とする。これまでメインフレームのみで提供してきた勘定系システムにおいて、システム更改時のPITON採用により、オープン化を選択できるようになる。

 安定した稼働実績のある既存業務アプリケーションに変更を加える必要がなくなることから、メインフレームで構築されたシステムのオープン化の移行リスクを低減する。

 PITONによる安全なオープン化により、ハードウェアの調達やシステムの開発・維持・運用に必要なIT人材の確保など、勘定系システムのサステナビリティを確保できるようにする。システムと最新技術の親和性が向上するため、利用金融機関のデジタル化やコスト削減にもつながり、オープン化によって勘定系システムにおいてもクラウドやデータセンターの活用が進むことにより、将来的に消費電力削減などによる脱炭素化への貢献も期待できるとしている。

「PITON」の概念図

 NTTデータでは、これまで金融機関の勘定系など、ミッションクリティカルシステムの多くはメインフレーム基盤を中心に構築されてきたが、近年では国内のメインフレームの供給が年々減少しており、開発に従事するメインフレーム技術者も減少傾向にあり、メインフレームの価格高騰や、メインフレームを前提としたシステムそのものの継続性に対する懸念が高まってると説明。

 こうした状況を受け、NTTデータでは2017年からメインフレーム上で稼働する業務アプリケーションをオープンサーバー上で稼働させるためのフレームワークの研究開発を始め、2019年にはNTTデータが提供する共同利用型勘定系システムに、当該フレームワークを適用するための技術検証を始めた。研究開発と技術検証の結果、2021年4月1日に勘定系システム「MEJAR」各行が共同利用する次期システムに、当該フレームワークを採用することで各行と基本契約を締結している。

 PITONは、ファーストユーザーである次期MEJARの、2024年のサービス開始と同時に製品化するとともに、2026年をめどに更改予定のしんきん共同センターの次期勘定系システムでも採用が決定。しんきん共同センターの次期勘定系は、PITONを採用することにより、これまでメインフレームで稼働してきた共同システムをオープン環境へ移行するとしている。