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KDDI、タイ・バンコクにインターコネクションデータセンター「TELEHOUSE Bangkok」の新設を発表

 KDDI株式会社は12日、2023年春をめどに、タイの首都バンコクにデータセンター「TELEHOUSE Bangkok」を新設すると発表した。同データセンターは約100億円を投資して建設し、「TELEHOUSE」ブランドのデータセンターとしては東南アジアで最大規模になるという。

 KDDIでは、データセンター事業を行うTELEHOUSE Thailandをタイに設立。2023年春開業予定のTELEHOUSE Bangkokは、データセンター専用の建物で、階数は3階建て、延べ床面積は9000㎡、受電容量は9.5MWAとなる。

TELEHOUSE Bangkok 完成イメージ図

 TELEHOUSE Bangkokは、タイ国内通信事業者の主要ネットワーク設備の設置を予定し、世界各国とタイの相互接続がしやすい環境を構築する。また、バンコクで初となる4ルートからの通信回線引き込みにより、災害などさまざまなリスクにおいても、通信を途切れさせない高い冗長性を実現する。

 KDDI執行役員ソリューション事業本部サービス企画開発本部副本部長の丸田徹氏は、世界的に5G・IoT時代に突入する中で、インターネットトラフィックは爆発的に増加しており、そのうち動画トラフィックが全体の8割を占めているというデータを紹介。こうした背景から、データセンター市場も著しい成長を予測しているとした。

 KDDIの法人事業では、固定通信・モバイル・5Gを「コア事業」、事業基盤サービス・コーポレートDX・ビジネスDXを「NEXTコア事業」と位置付け、データセンター事業はこのうちの事業基盤サービスを牽引していると説明。データセンターの種類としては、コア事業である通信サービスとのシナジーから、さまざまなコンテンツとアクセスの相互相互ポイントとなる「インターコネクションDC」を展開しており、TELEHOUSEブランドで世界の主要都市45拠点超にデータセンターを展開しているとした。

 インターコネクションデータセンターは、クラウドサービス提供事業者や、コンテンツ提供事業者、通信キャリアなどが相互に接続することで、快適な通信環境を実現するものんで、接続する事業者が多いほど、さらに他の事業者も接続するエコシステムになっていると説明。また、リッチコンテンツの増加に伴い、インターコネクションデータセンターの必要性も増していくとした。

 KDDIソリューション事業本部サービス企画開発本部コネクティビティ・DC企画部長の柳澤健之氏は、タイはインターネットバンキングの利用が世界1位となるなど、モバイルの利用が急成長しており、これに伴ってインターネットトラフィックやデータセンター市場も拡大していると説明。

 一方、東南アジアではクラウドサービスなどの拠点はシンガポールとなっており、タイ国内からこれらのサービスやコンテンツを利用する際には、レスポンスの低下や回線コストの増加が課題となっており、タイ国内にコンテンツの配信拠点が求められており、こうしたニーズに対応するため、TELEHOUSE Bangkokを新設すると語った。

 TELEHOUSE Bangkokは、バンコク市内に分散するキャリア系データセンターからの距離も近く、水害リスクの低い土地に立地。さらに、通信線を4ルートで引き込める環境により、異なるキャリアを利用することで、さらに信頼性を向上できるとした。

通信線の4ルート冗長性

 タイにおいては、データセンター内で各キャリアにダイレクト接続できる、インターコネクションデータセンターの必要性が増しており、キャリアに中立なデータセンターとして、構内配線で接続できる環境を提供していくと説明。KDDIの欧州などでのインターコネクションデータセンターの成功事例と、キャリアとしての知見を生かし、タイにおけるビジネスに貢献していくとした。

 海外でのインターコネクションデータセンター展開は、日本企業に対しても、例えばIoTサービスを海外で展開する事業者などには恩恵があると説明。今後はさらに、インターコネクションデータセンター戦略を東南アジアに展開していき、ニーズの高い地域に事業を拡大していくと語った。