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日本マイクロソフトがMicrosoft AIの強みをアピール、ローソンとの協業拡大も
2021年12月14日 06:15
日本マイクロソフト株式会社は、Microsoft AIおよびAzure AIについて説明会を開催した。なお、Microsoft AIとは同社のAIに関する取り組み全般を指し、Azure AIは顧客が実際にAIを実装し利用する際の製品名となる。
まず、日本マイクロソフト 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長の上原正太郎氏は、「AI分野におけるMicrosoftの強みは、Microsoft Researchという研究機関を保有していることだ」と述べた。
「AIや機械学習領域は、Microsoftの中でも特に重要な投資エリア。Microsoft Researchは、1991年の設立以来30年にわたってさまざまな科学技術分野を研究しながらAIのブレークスルーを起こしてきた。現在Microsoftは世界各地に8つの開発拠点を置き、1000人以上の研究者が次世代の研究開発を行っている。この30年間に研究者は2万2000以上の研究論文を発表し、特に人工知能の分野では3500以上の論文を発表している」(上原氏)。
その上で上原氏は、AI領域に投資するにあたっては、データガバナンスやセキュリティ、コンプライアンスを考慮する必要があると主張、「Microsoftでは、AIサービスを開発する上で6つの原則を定めている。信頼性と安全性、公平性、透明性、プライバシーとセキュリティ、包括性、説明責任に関する原則で、それがAIへのアプローチの基礎となっている」とした。
その原則に沿ってAIを倫理面で検討する組織として、Microsoftは「AIETHER Advisory Committee」という委員会を設置している。AIETHERとは、AI and Ethics in Engineering and Research(エンジニアリングと研究におけるAIと倫理)の略。同委員会の役割について上原氏は、「エンジニアリング部門とポリシー部門の責任者が委員として参加し、AI関連技術の開発と実用化に伴う課題についてシニアリーダーシップに助言をする。この委員会で承認されない限り、サービス化・製品化は実現しない」と説明する。
また上原氏は、Microsoftが推進する「AI for Good」というイニシアチブについても触れた。この取り組みは、MicrosoftのクラウドとAI技術を、社会全体の課題に取り組む人々に提供するというものだ。現在、地球環境保全のための「AI For Earth」、障碍のある人をサポートする「AI for Accessibility」、人道支援のための「AI for Humanitarian Action」、世界遺産や文化保全のための「AI for Cultural Heritage」、医療分野に向けた「AI for Health」の5つの領域を支援しており、「MicrosoftはこのAI for Goodに5年間で1億6500万ドルを投資し、AIが社会発展のために活用されることを目指している」(上原氏)とした。
さらに上原氏は、今回新たに株式会社ローソンとの協業を拡大したことを発表。ローソンはDXを加速させるためにAzure AIを採用し、POS売上やカメラ情報などから顧客の購買行動を可視化し分析する「店舗運営支援AI」システムを構築するという。「今回の協業は、Azure Cognitive ServicesやAzure Machine Learningを活用した店舗のDXを推進する新たなパートナーシップだ」と上原氏は説明している。
続いて、日本マイクロソフト Azure ビジネス本部 プロダクト マーケティングマネージャーの小田健太郎氏が、11月に開催された「Microsoft Ignite」で新たに発表したAzure AIの新ソリューション「Azure OpenAI Service」を紹介した。
Azure OpenAI Serviceは、視覚や音声など人間の知覚機能を提供するAzure Cognitive Servicesのひとつで、OpenAIとの戦略的パートナーシップによって実現したものだ。小田氏は、「OpenAI Serviceを使うには、Microsoftのファーストパーティーマネージドサービスとして使うパターンと、OpenAIが提供しているAPIを使うパターンの2通りがある」と説明した上で、Microsoftのマネージドサービスを使う利点として「Microsoftが提供するエンタープライズレベルのデータプライバシーやガバナンス、コンプライアンス認証が包含されており、責任あるAIの6原則にも準拠している」と述べた。現在、Azure OpenAI Serviceは招待制によってのみ提供されている。
小田氏は、「Microsoftでは、オフィスワーカーや営業、マーケティング、開発者など、あらゆる役職に対応したソリューションを提供しており、その製品すべてを機械学習プラットフォームが支えている。また、Microsoft Researchが、長期間にわたって蓄積したアルゴリズムの開発や改善、モデルの精度向上に関する研究を製品に反映している。ここ数年でAIのブレークスルーも加速化し、さまざまな分野でAIソリューションの実装が進んでいる。人間の知覚機能を模倣したAIの精度も、すでに人間の知覚機能を超えているものさえある」とアピールした。