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日本マイクロソフトがMicrosoft AIの強みをアピール、ローソンとの協業拡大も

 日本マイクロソフト株式会社は、Microsoft AIおよびAzure AIについて説明会を開催した。なお、Microsoft AIとは同社のAIに関する取り組み全般を指し、Azure AIは顧客が実際にAIを実装し利用する際の製品名となる。

 まず、日本マイクロソフト 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長の上原正太郎氏は、「AI分野におけるMicrosoftの強みは、Microsoft Researchという研究機関を保有していることだ」と述べた。

 「AIや機械学習領域は、Microsoftの中でも特に重要な投資エリア。Microsoft Researchは、1991年の設立以来30年にわたってさまざまな科学技術分野を研究しながらAIのブレークスルーを起こしてきた。現在Microsoftは世界各地に8つの開発拠点を置き、1000人以上の研究者が次世代の研究開発を行っている。この30年間に研究者は2万2000以上の研究論文を発表し、特に人工知能の分野では3500以上の論文を発表している」(上原氏)。

日本マイクロソフト 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長 上原正太郎氏
Microsoft Researchについて

 その上で上原氏は、AI領域に投資するにあたっては、データガバナンスやセキュリティ、コンプライアンスを考慮する必要があると主張、「Microsoftでは、AIサービスを開発する上で6つの原則を定めている。信頼性と安全性、公平性、透明性、プライバシーとセキュリティ、包括性、説明責任に関する原則で、それがAIへのアプローチの基礎となっている」とした。

AI開発におけるMicrosoftの原則

 その原則に沿ってAIを倫理面で検討する組織として、Microsoftは「AIETHER Advisory Committee」という委員会を設置している。AIETHERとは、AI and Ethics in Engineering and Research(エンジニアリングと研究におけるAIと倫理)の略。同委員会の役割について上原氏は、「エンジニアリング部門とポリシー部門の責任者が委員として参加し、AI関連技術の開発と実用化に伴う課題についてシニアリーダーシップに助言をする。この委員会で承認されない限り、サービス化・製品化は実現しない」と説明する。

 また上原氏は、Microsoftが推進する「AI for Good」というイニシアチブについても触れた。この取り組みは、MicrosoftのクラウドとAI技術を、社会全体の課題に取り組む人々に提供するというものだ。現在、地球環境保全のための「AI For Earth」、障碍のある人をサポートする「AI for Accessibility」、人道支援のための「AI for Humanitarian Action」、世界遺産や文化保全のための「AI for Cultural Heritage」、医療分野に向けた「AI for Health」の5つの領域を支援しており、「MicrosoftはこのAI for Goodに5年間で1億6500万ドルを投資し、AIが社会発展のために活用されることを目指している」(上原氏)とした。

 さらに上原氏は、今回新たに株式会社ローソンとの協業を拡大したことを発表。ローソンはDXを加速させるためにAzure AIを採用し、POS売上やカメラ情報などから顧客の購買行動を可視化し分析する「店舗運営支援AI」システムを構築するという。「今回の協業は、Azure Cognitive ServicesやAzure Machine Learningを活用した店舗のDXを推進する新たなパートナーシップだ」と上原氏は説明している。

ローソンとの協業

 続いて、日本マイクロソフト Azure ビジネス本部 プロダクト マーケティングマネージャーの小田健太郎氏が、11月に開催された「Microsoft Ignite」で新たに発表したAzure AIの新ソリューション「Azure OpenAI Service」を紹介した。

日本マイクロソフト Azure ビジネス本部 プロダクト マーケティングマネージャー 小田健太郎氏
Azure Cognitive ServicesにAzure OpenAI Serviceが新たに加わった

 Azure OpenAI Serviceは、視覚や音声など人間の知覚機能を提供するAzure Cognitive Servicesのひとつで、OpenAIとの戦略的パートナーシップによって実現したものだ。小田氏は、「OpenAI Serviceを使うには、Microsoftのファーストパーティーマネージドサービスとして使うパターンと、OpenAIが提供しているAPIを使うパターンの2通りがある」と説明した上で、Microsoftのマネージドサービスを使う利点として「Microsoftが提供するエンタープライズレベルのデータプライバシーやガバナンス、コンプライアンス認証が包含されており、責任あるAIの6原則にも準拠している」と述べた。現在、Azure OpenAI Serviceは招待制によってのみ提供されている。

Azure OpenAI Serviceについて

 小田氏は、「Microsoftでは、オフィスワーカーや営業、マーケティング、開発者など、あらゆる役職に対応したソリューションを提供しており、その製品すべてを機械学習プラットフォームが支えている。また、Microsoft Researchが、長期間にわたって蓄積したアルゴリズムの開発や改善、モデルの精度向上に関する研究を製品に反映している。ここ数年でAIのブレークスルーも加速化し、さまざまな分野でAIソリューションの実装が進んでいる。人間の知覚機能を模倣したAIの精度も、すでに人間の知覚機能を超えているものさえある」とアピールした。