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三菱総研DCS、中島合金と共同で熟練技能者の暗黙知をAIに代替させる実証実験を開始

 三菱総研DCS株式会社は13日、中島合金株式会社と共同で、純銅鋳造製造工程で熟練者の暗黙知を学習させたAIについて、実業務への適用可否を検証する実証実験を開始すると発表した。

 中島合金では、純銅鋳物の製造では原材料の状態や環境条件など、製造条件のばらつきが鋳造の難しさの一因となっていると説明。このため、製造工程の途中段階でばらつき具合を測定し、その値に応じて調整用の添加剤を適切量投入することで、製品の最終品質を均一化するという熟練の技術を持っているが、この技能を若手が継承するには長い時間がかかるという課題があるという。

 そこで、中島合金と三菱総研DCSでは、この課題解決に着手。AI技術を活用して「製造時のばらつき状態」と「添加剤の投入量」の関係を学習することで、熟練者の判断を再現できることが確認できたという。

 今回実施する実証実験では、このAIの判定精度を向上させるだけでなく、予測時間が実用に足るか、また製造の現場技術者が利用するシステムとして操作性に問題はないかなど、システム全体としての業務適用可否を検証する。

 技術により、若手に継承させることが難しい「調整具合の判断」を、熟練者の頭脳から抽出し、若手でも活用可能なノウハウ資産へと昇華させることが期待できると説明。熟練者がその調整作業から解放されることで、例えば別の製造作業の標準化など、より難度の高い業務に集中できるとしている。