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日立と独cbs、日本企業のSAP S/4HANAへの移行サポートで協業

 株式会社日立製作所(以下、日立)と独cbs Corporate Business Solutions(以下、cbs)は8日、ビジネスパートナー契約を締結し、日本企業向けに、既存の基幹システムからSAP S/4HANAへの移行サポートに関する協業を開始すると発表した。

 日立では、日本でもSAP ERPからSAP S/4HANAへの移行を本格的に検討する企業が増加していることを受け、1994年から日本を中心にSAPソリューション事業をエンドツーエンドで展開する日立と、SAPのデータマネジメントを強みにグローバルで実績のあるcbsが、日本企業向けのサービス向上を目的に、協業に至ったとしている。

 協業では、SAP S/4HANA移行を検討する顧客に対し、構想策定から、移行準備、システム移行・導入、保守に至るまで、SAPパートナーである両社の知見を生かしたコンサルティングや、cbsの高度な独自ツールを活用したデータマネジメントにより、顧客のスピーディかつ効率的なシステム移行・運用を支援する。

 経営情報可視化に向けた構想策定フェーズでは、日立がLumadaの顧客協創方法論「NEXPERIENCE」をベースとしたワークショップで業務のあるべき姿を描き、共有した上で、経営基盤のシステム刷新にフォーカスした構想策定を実施し、システムアーキテクチャとデータ収集・活用プロセスの最適化に向けたロードマップを具体的に示す。

 構想策定にあたっては、既存システムからSAP S/4HANAへの移行による影響を、機能面だけでなくデータの観点でも分析が可能。さらに、cbsのSAP S/4HANA Readiness Analysisを用いて、既存システムのマスターやコードの標準化レベルやデータ蓄積状況などを解析することで、将来的なデータ活用に向けた改善ポイントを明確化する。

 SAP S/4HANAへの移行準備フェーズでは、スムーズなSAP S/4HANA導入のために必要な準備として、日立が段階的なクラウド移行やプロセス変革を支援する。基幹システムとクラウドサービスを組み合わせた運用に必要なマスターデータ管理やデータ連携の見直し、長期間利用されているSAP環境の事前のデータクレンジングについては、データマネジメントに知見をもつcbsのコンサルチームと連携して支援する。

 SAP S/4HANAへの移行・導入フェーズでは、経営基盤のデジタル化の目標達成に最適な手法(新規導入、ミックス&マッチ、シェル構築、システムコンバージョン)でのSAP S/4HANA導入を、日立が支援する。既存環境を有効活用するミックス&マッチやシェル構築、複数あるSAP環境の統廃合においては、経営情報のデジタル活用に必要なデータのみを移行する選択的データ移行を行う。cbsは、SAPのデータ構造を踏まえた選択的データ移行の技術と実績を有しており、専用ソフトウェアである「cbs ET Enterprise Transformer for SAP S/4HANA」を用いることで、ダウンタイムを最小限に抑えながら確実な移行を実現するとしている。

 日立は、今回のcbsとの協業を契機に、今後も製造業をはじめとした幅広い顧客向けに、SAP S/4HANAなどの基盤ITシステムを提供していくとともに、OTとプロダクトを併せ持つ強みを生かし、Lumadaを活用して経営と現場、サプライチェーンをつなぎ、バリューチェーン全体の最適化やレジリエンス(企業の事業継続性や社会インフラの強靭(きょうじん)さ)の価値向上に貢献していくとしている。