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日立、企業や商品への反響を“感情”の観点から分析するサービスを強化 道徳や意外性の観点からも分析可能に

 株式会社日立製作所(以下、日立)は7日、AIを活用し、Twitterなどのテキストデータから企業や商品に対する反響を「感情」の観点で分析・可視化する「感性分析サービス」を強化すると発表した。新たに「道徳」と「意外性」の観点で分析する「モラル分析」「意外性分析」の両機能を加え、Lumadaソリューションとして同日より提供開始する。価格は個別見積もり。

 感性分析サービスは、AIを用いて、テキスト化されたメディア情報などから、企業や商品に対して抱かれている感情を高精度に分析するサービス。業務システムとの連携も可能なため、顧客の声を拡販計画や売上予測などにつなげられるほか、ネガティブな感情の拡大を自動検知・報告する機能により、リスク対策のためのツールとしても利用できるなど、企業の多岐にわたる業務への活用が期待できるという。

 今回新たに提供する「モラル分析」機能は、AIでテキストから特徴語を抽出し、「擁護」「校正」「内集団(集団を作り、維持しようとする道徳観)」「権威」「純潔」といった5つの道徳基盤のどれに当てはまるか、各道徳基盤に順守・違反しているかを、道徳基盤理論をもとに作成された道徳基盤辞書を用いて分類し、定量的に分析・可視化するもの。これにより、うれしさや驚き、不満など、顕在化された感情の背景にある道徳的な価値観を可視化できるとした。なお、この機能は東京工業大学 笹原研究室の助言をもとに開発されたという。

 一方の「意外性分析」機能では、時系列の情報と出現頻度を組み合わせた日立独自のアルゴリズムを活用し、一定の件数があるものの「感情分析」機能や「モラル分析」機能では件数が少なく表示されなかった少数派の反響と、その時間帯を抽出・可視化できるとのこと。同機能では、大量のデータに埋もれていた小さな反響の変化など、意外な情報を抽出できるため、商品企画など“攻め”のマーケティングや、SNS炎上検知と対処といった“守り”のマーケティングが可能になり、今後のビジネス活動の向上につなげられるとしている。

 日立では、強化されたサービスの活用法について、例えば、自動車メーカーのマーケティングに活用した場合、エンドユーザーの感情およびその感情に至った潜在的な価値観を分析することで、抱いた感情とその背景にある「内集団」などを重んじるといった道徳的な価値観が分かるため、エンドユーザーの購買意欲を刺激するマーケティング施策を打ち出せるようになると説明。加えて、当初想定していなかった反響をとらえることにより、新しいプロモーションも企画可能になるとしている。