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日立と東大生研、ビッグデータ基盤の省エネルギー化実現に向けた主要技術を開発

従来比200倍超のデータ分析処理を実現

 株式会社日立製作所(以下、日立)と国立大学法人東京大学 生産技術研究所(以下、東大生研)は3日、超省エネルギー型のビッグデータ基盤の実現に向けた主要技術を、共同で研究開発したと発表した。

 日立と東大生研は、長年にわたって、超高速データベースエンジンなどの研究開発を共同で行っており、今回、環境負荷低減の観点で、超高速でありながら超省エネルギー型のデータベースエンジンの開発に取り組んだ。

 日立では、企業が扱うデータ量は爆発的な増加を続けており、その利活用には蓄積・分析のための多数のハードウェアが必要となり、省エネルギー化が課題になっていると説明。この課題解決に向けては、従来取り組まれてきたハードウェアだけでなく、データベースエンジンなどのミドルウェアも含めた、ITシステム全体でのエネルギー効率の向上が必要で、ITシステムの省エネルギー化を実現することで、温室効果ガスの排出量削減にも貢献できると考えられるとしている。

 研究では、データベースエンジン内のストレージにおけるアクセスされていない領域の電源をオフにし、必要な際に遅延なくアクセスでき、かつ、省エネルギー効果を最大化する電源オン・オフ管理に必要となる超精密モデルと、それを基にした電源管理機構を開発し、データベースエンジンに適用した。

 また、超精密モデルを基に、省エネルギー化の観点から最適なハードウェアの電源制御を定義し、データへの問い合わせ実行中に最適なデーターベースアクセスを判断する動的問合せ最適化方式を確立した。

 さらにこの技術を用いて、商用利用を想定して開発したデータベースエンジンを設計・実装し、消費電力のピークカット機能などの設計・実装を行った。これらの商用利用を想定した効果検証として、鉱山露天掘りの機器稼働管理IoTシステムを模した実証実験を実施。実証実験では、鉱石を積み込むトラックに設置したセンサーから、2週間分の積載量データを取得し、データ分析処理におけるエネルギー効率の評価を行った。

 評価では、一般的に利用されている従来型のデータベースエンジンと比較して、同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理を確認。これにより、データ分析処理の省エネルギー化を実現し、CO2排出量の削減に貢献できるとしている。

 日立と東大生研は今後、得られた知見やノウハウを生かしながら、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会である「Society 5.0」の実現に向けた研究開発を進めていくと説明。 また、日立は、データから価値を創出するLumada事業を核に、社会イノベーションを推進し、「安心・安全」「環境」「レジリエント」の3つの領域で価値を提供していき、その一環で重要なITインフラとして、今回の技術の実用化を目指すとしている。