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富士通とAWS、モビリティ業界のDX加速に向けた協業を発表
フルマネージドのモビリティソリューションを共同開発
2021年5月21日 08:00
富士通とAmazon Web Services(AWS)は12日、モビリティ業界における、デジタルトランスフォーメーション(DX)のグローバル展開で協業すると発表した。
この協業では、これまで富士通がモビリティ業界で培ってきたデジタルツインやセキュリティのソリューションと、AWSのクラウドサービスを組み合わせることで、モビリティ業界において新たなサービスやビジネスの創出を支援する、フルマネージドのモビリティソリューションを共同で開発する。
具体的には、富士通が持つモビリティ関連テクノロジーである車載カメラ映像解析基盤の「Digital Twin Analyzer」、ストリームデータ処理基盤の「Digital Twin Utilizer」、モビリティデータの利活用を支援する統合基盤「Digital Twin Collector」、車両のセキュリティ管理を行う管理センターであるV-SOC(Vehicle-Security Operation Center)を核としたソリューションであるという。
開発したソリューションは、AWS Marketplaceでも10月から日本向けに提供を開始し、欧州や北米などグローバルに向けても展開していく予定となっている。そのほかコネクテッドモビリティソリューションを活用し、コネクテッドカーのデータ活用やサービスなどのユースケースを開発し、提供していくという。
また、AWSのプロフェッショナルサービスを活用し、モビリティ領域におけるシステム開発および運用、既存システムのモダナイゼーションを支援する。すでにAWSクラウドを導入済、もしくは新しくAWSクラウドを導入する自動車メーカー、保険、物流などのモビリティ業界の企業に向けてAWSのプロフェッショナルサービスを活用し、基幹業務やモビリティサービスのシステム開発・運用、既存システムのモダナイゼーションといったサービスを、2021年6月より日本国内で提供を開始する。こちらのサービスについても、グローバルに順次展開予定だ。
富士通はモビリティ事業を担当するシステムエンジニアを対象に、AWSの認定資格保有者を新たに750名育成し、AWSクラウドを活用したシステム開発体制を強化するという。AWSクラウドにおけるシステム開発のプロフェッショナルを増強することで、モビリティ業界のDX加速を実現するシステムを提供していく考えだ。
今回の協業の経緯について富士通 Mobility事業本部 FMアクセラレーター事業部 事業部長 神俊一氏は、「モビリティ業界は『CASE』、すなわちConnected(コネクテッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)を中心に技術革新が進んでいる。特にコネクテッドの重要性は増しており、富士通がこの領域でソリューションを展開するにあたって、安定した接続が可能な基盤を持つAWSとの連携は大きな意味を持つ。オファリングについても、昨今のモビリティ業界は『Mobility as a Service』を求めるお客さまが増えており、AWS Marketplaceを通じてグローバルにオファリングできることは大きなメリットとなる。これらの理由から、AWSはベストなパートナーであると富士通は考えている」と説明した。
また、神氏は現在検討しているモビリティ業界向けソリューションについて「富士通の持つデジタルツインの技術によって、リアルの世界をバーチャルの世界に反映させ、バーチャルの世界でトライアル(シミュレーション)を繰り返し、最終的にうまくいったものをリアルの世界に持ってくることができる。こうした技術によって、たとえば自動運転などのシミュレーションを繰り返して安全度を高め、自動車のOEMメーカーや保険会社にオファリングしていく、あるいは大量のコネクテッドのデータを分析して最適な交通マネジメントのサービスを提供する」といった内容を明らかにしている。
AWSジャパン 第一ストラテジックパートナー本部 本部長兼第二ストラテジックパートナー本部 本部長 相田哲也氏は、「現在AWSは業種別体制を強化をすすめている。オートモーティブ領域もそのうちのひとつで、営業、事業開発、エンジニア組織などを増強している」と説明する。すでに日本市場でもグローバル市場でも、AWSはオートモーティブ向けのサービスを提供しているが、今回の富士通との協業のように、今後も多くのパートナーと一緒にさまざまなソリューションやサービスを展開していく予定があると相田氏は述べている。