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日立システムズ、5Gの普及を見据えた「セキュア映像通信サービス」を提供開始

 株式会社日立システムズは18日、5Gネットワークの普及や映像技術の進化を踏まえ、高精細な監視カメラなどの映像データを、公衆網やクラウド、特殊な暗号化処理技術を活用することで、低コストかつセキュアな伝送・管理を実現する「セキュア映像通信サービス」の提供を開始した。

 日本国内でも、2020年度から5Gの商用サービスが提供開始されており、企業や自治体などが建物や敷地内に限定して利用できるローカル5G無線局の免許交付が始まり、製造業のスマートファクトリー化や建設現場のデジタル化、交通機関での映像監視など、さまざまな分野で活用が期待されている。

 中でも、映像監視分野においては、安心・安全な社会づくりの観点で、カメラ映像の高精細化などと合わせて、さらに活用の幅が広がることが予想される。一方、セキュリティを担保するためには、専用回線や閉域網などを導入するか、公衆網で利用する場合には映像の暗号化処理などが必要となるが、映像の暗号化処理による遅延が発生するため、交通インフラなどをはじめとする公共分野や医療分野など、プライバシー保護のためにセキュリティの担保が必須となる分野では活用が難しいという課題がある。

 こうした課題に対して、日立システムズでは、4Kや8Kなどの高精細なカメラで撮影した映像を、公衆網やクラウドなどを活用してコストを抑えつつ、特殊な暗号化処理技術によりセキュアに伝送し、保管・検索・閲覧を可能にする「セキュア映像通信サービス」を提供開始する。

セキュア映像通信サービスのイメージ図

 セキュア映像通信サービスは、日立システムズの米国パートナー企業が特許を取得している特殊な暗号化処理技術をベースに、日立システムズ独自のプログラムをカメラに搭載することで、高精細な映像でも暗号化処理の遅延が少ない映像通信を可能にする。プライバシー保護が重要な場所での映像通信・管理においても、専用回線や閉域網などを利用せず、公衆網とクラウド、暗号化処理技術を利用することで、低コストかつセキュアな映像の伝送を実現する。

 さらに、サービスでは暗号化技術の提供だけでなく、映像の復号から保管・検索・閲覧が可能な映像管理システムや、必要となる高精細カメラの調達などをワンストップで提供。運用面も含め、顧客のニーズに合った映像管理システムの導入を支援する。

 これにより、たとえば街中の監視カメラ映像をセキュリティを確保しながらリアルタイムに伝送する映像監視システムや、緊急搬送中の患者の高精細な映像を受け入れ先の病院にセキュアかつ低遅延で伝送するといった、公共・医療分野などでの活用が期待できるとしている。

 日立システムズは今後、セキュア映像通信サービスを拡販するだけでなく、日立の先進的なデジタル技術を活用したLumadaソリューションとの連携によるデジタルトランスフォーメーションの推進支援まで含めて、ローカル5Gワンストップソリューションとして、さまざまなサービスの展開を予定。これにより、2025年度末までに累計25億円の売上を目指す。