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アラクサラ、シスコ、NECが戦略的協業、重要社会インフラ向けネットワークのセキュリティ強化へ
2021年2月1日 06:00
アラクサラネットワークス株式会社(以下、アラクサラ)、シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)、日本電気株式会社(以下、NEC)は1月29日、ネットワークセキュリティ分野で戦略的協業したことを発表した。電力、道路・鉄道、政府・自治体、通信事業者といった重要社会インフラを担う14分野の企業や機関をターゲットとし、安全性を担保したネットワーク製品を提供する。
今回の協業では、アラクサラがシスコのネットワーク機器の真正性を確認し、アラクサラ製ソフトウェアを組み合わせてソリューション化し販売する。NECも自社のセキュリティ技術やセキュア検査などをアラクサラへ提供するほか、アラクサラのソリューションとNEC製品を組み合わせて、ネットワークシステムの健全性や機能性、管理性を強化する。
NEC 執行役員常務の河村厚男氏は、3社の協業について、「シスコのグローバルで実績のあるプログラマブルなネットワーク製品と、アラクサラによる日本基準の品質と製品真正性の担保、そしてNECのセキュリティ技術やシステム運用時も見据えた統合SI力により、Society 5.0の実現に向けた社会に安全なネットワークを提供する」と述べた。
今回の協業でシスコが提供する製品は、同社が重要社会インフラネットワーク向けに世界展開しているルータ製品「Cisco NCS 500/5500」シリーズと、ネットワークOSの「Cisco IOS XR System」だ。これをアラクサラが真正性確認の上、アラクサラブランドとしてNECに提供、NECはこれを4月以降顧客に販売する。当面はNECから顧客向けに販売するが、その後アラクサラの販売・保守パートナーを通じた販売も行う。
米Cisco Systems アジアパシフィック ジャパン&チャイナ プレジデントのデイヴ・ウェスト氏は、「シスコは顧客のデジタル変革の支援にコミットしている」とした上で、今回の提携で提供する製品が、「次世代の重要インフラプラットフォームに求められる品質、信頼性、安全性、プログラマビリティ、管理性を実現するものだ」としている。
また、シスコ 代表執行役員会長の鈴木和洋氏は、「シスコの社会インフラ向け製品は、米国では幅広い分野で採用されているが、日本にはまだ浸透しきれていない。それは、日本市場ではセキュリティに求められる要求が高いためだ。今回の提携でその課題が解消されるため、日本の社会インフラにもシスコ製品を広めていきたい」と述べた。
アラクサラは、純国産ネットワークベンダーとして、重要インフラを含め1000社以上への納入実績がある。今回の協業では、シスコ製品の真正性を保証し、NECと連携してローカルサポートを提供する。また、シスコのAPIを利用した日本向けソフトウェアのカスタマイズも視野に入れている。
アラクサラ 代表取締役社長 兼 CEOの中川勝博氏は、「顧客にシスコ製品を手渡す最終工程で、アラクサラの出荷検査と出荷証跡管理を実施する。その後アラクサラの運用管理ソフトにより、運用中の装置を監視する」と説明、「国産ネットワークベンダーとして日本の安心安全を担保したい」としている。
将来的には、アラクサラのセキュリティおよび運用管理技術と、NECのセキュリティ技術を連携させ、運用中のネットワーク機器の脆弱性を標的としたコードインジェクションによる不正命令の実行やプログラム改変などを監視し、より安全な運用管理ができるソリューションの提供を目指す。
NECの河村氏は、「セキュリティはこれまで後から加えていたものだった。今回の協業は、最初からセキュリティを担保した製品を構築する取り組みだ。今後さらに安全な社会システムが維持されるよう協力していきたい」と述べた。