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日立、マルチクラウド環境のシステム監視・一元運用に向けた機能を強化した「JP1」最新版を販売開始

運用基盤をSaaS型で利用可能な「JP1 Cloud Service」も提供

 株式会社日立製作所(以下、日立)は21日、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業に向け、マルチクラウド環境に対して、人のスキルに依存しないシステム監視と一元的な業務運用管理を容易にする統合システム運用管理「JP1」の最新版「JP1 V12.5」の販売を開始した。

 日立では、システム環境全体の運用に関わる情報を関連付けて可視化するインテリジェント統合管理「JP1/Integrated Management 2(以下、JP1/IM2)」や、業務の自動実行を制御・管理する「JP1/Automatic Job Management System 3(以下、JP1/AJS3)」などにより、IT部門の運用効率化や業務自動化などのニーズに応えてきた。これらの取り組みで、日立が蓄積してきたIT部門の運用ナレッジをもとに、「JP1 V12.5」では中核製品であるJP1/IM2とJP1/AJS3を中心に強化した。

「JP1」最新版のイメージ

 システム監視の中でも、緊急度や属人性が高い障害対応を支援するため、これまでJP1/IM2で提供してきたシステム環境全体の運用情報の関連付けと、判断に必要な情報の可視化に加え、リアルタイムなシステム状況から最適な対処手順の提案を実現した。

 具体的には、各JP1製品で検知したエラーや障害で影響を受ける業務の実行状況やシステムリソース状況などの多様な運用情報に応じた対処案を、JP1/IM2の統合オペレーション・ビューアーに一覧表示する。これを選択することにより、経験が浅い運用担当者でも迷わず適切な対処を実行できる。

 たとえば、サーバーの障害が発生した場合、運用担当者は、影響を受ける業務の確認、担当するエンジニアへの連絡、原因調査用画面の表示といった対処案に従って、迅速に対処できる。さらに、「IT運用最適化サービス」のAIなどと連携することで、より高度な分析や判断を伴う対処の提案や実行も可能となり、属人性を軽減する。

 JP1/AJS3では、クラウドサービスを利用する業務とオンプレミス側の既存業務とを連携させるといった、マルチクラウド・ハイブリッドクラウド環境をまたがる一連の業務を自動実行し、一元的に実行状況を把握・管理できる。従来は、JP1/AJS3からクラウドサービス上の業務を制御するために処理を作り込む必要があったが、今回、Amazon Web Services(AWS)のAmazon S3やAWS Step Functionsといったクラウドサービスの制御を行う機能を提供することで、この作り込みが不要になった。

「JP1 V12.5」の新機能の利用イメージ

 さらに、RESTインターフェイスを持つサービスとの連携機能も強化し、業務の柔軟な制御を容易にした。これらにより、IT部門は、各種クラウドサービスを利用した新たな業務とオンプレミス環境の既存業務における実行結果データの引き継ぎなど、マルチクラウド環境の業務の実行管理を容易に定義することが可能になり、クラウド活用を運用面から促進する。

 製品の価格(税別)は、JP1/Integrated Management 2が60万円から、JP1/Automatic Job Management System 3が27万円から。

 また、これらのシステム監視と業務運用管理などの高信頼な運用基盤を、SaaS型で利用できる新サービス「JP1 Cloud Service」を3月31日に販売開始する。

 第一弾として、システム運用の中核を担うJP1/IM2とJP1/AJS3の機能を利用できる「統合管理プラットフォーム」「ジョブ管理プラットフォーム」と、JP1/AJS3の運用データを元に長期的な運用傾向などの分析結果をダッシュボードに表示できる「ジョブ運用データ分析サービス」を提供する。これらのメニューはすべて、オンプレミスからマルチクラウド環境にまたがるシステムを管理対象にでき、SaaS型で利用できるため、導入から保守までの負担を軽減する。

 「統合管理プラットフォーム」「ジョブ管理プラットフォーム」では、異なるデータセンター間での冗長化構成や、サービス稼働中のセキュリティパッチ適用など、業務の継続性を向上する工夫により、基幹システムの運用基盤として利用できる。また、「ジョブ運用データ分析サービス」は、IT部門の分析工数を削減するだけでなく、将来、業務実行の遅延が発生するリスクを早期に発見し重大な障害を事前に回避できるなど、事業継続性を向上できる。

 JP1 Cloud Serviceの価格(税別)は、統合管理プラットフォームが月額39万円から、ジョブ管理プラットフォームが月額39万円から、ジョブ運用データ分析サービスが月額6万円から。