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ビジネス向けxRソリューション市場、2020年度は前年度比37.1%増の192億円規模に

 デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社は7日、xRソリューションを提供するベンダーを調査した「ビジネス向けxRソリューション市場の現状と展望2020年度版」を2020年12月に発刊したと発表した。

 xRソリューションを提供するベンダー主要40社の調査により、その他ベンダー分を推計し、2019年度~2021年度までの市場規模を算出。合わせて、2023年度までの短期予測を、取材情報をヒントに推計している。

 ビジネス向けxRソリューション市場は、VRとAR/MRの2つで構成され、それぞれについて分析・予測してる。

 2019年度のビジネス向けxRソリューション市場は、全体が140億円で、内訳はVRソリューションが85億円(60.7%)、AR/MRソリューションが55億円(39.3%)となった。現状においてはVRの方が市場規模としては大きく、ここ数年、教育・研修においてVRの活用がある程度浸透し始めていることや、デバイスの性能などの制約により、AR/MRの活用シーンがまだ限定的であることが理由として挙げられるとしている。

 しかし、COVID-19の感染拡大により、接触を控える動きや人の移動が制限される中で、Face to Faceに最も近いコミュニケーション手段として、xRの技術に注目が集まっており、AR/MRにおいても遠隔地からの作業支援を中心に需要が急激に高まっていると指摘。VRにおいても、従来の教育分野に加えて、店舗やイベントなど活用の幅を広げており、xR市場は今後大きく拡大すると予想している。

 また、以前と比べて、珍しさや目新しさによる差別化を目的とした導入は減少し、xRによる課題解決を目的とした導入傾向が広まっており、依頼する担当者の層も現場担当者に加えて、経営層が自社の業務変革を目的として導入検討を行うケースも増えてきていると分析。そのため、企業側の予算も数千万円程度用意するところも出てきており、本気度の高い企業が増えているとしている。

 VRソリューションにおいては、教育・研修向けに浸透していたことや、HMDをはじめとするHWの価格が低下していることから、市場としての下地ができつつあると分析。また、バーチャル店舗や、バーチャルイベントなど新しい活用法も出てきており、今後は年平均成長率48.2%で推移すると予測している。

 ARソリューションにおいては、製造業向けの遠隔作業支援での利用が多く、今回のCOVID-19感染拡大によって人の移動が制限された中で、需要が大きく伸びていると分析している。MRについては、国内においてはまだ活用法を模索するPoC案件が多い現状で、教育研修を中心に実導入も増えてきているが、MRの売上ウエートはAR/MRソリューション全体の1割強程度にとどまると分析。AR/MRソリューションは今後、年平均成長率41.7%で推移すると予測している。

 こうした市場環境を背景に、ビジネス向けxRソリューション市場は2020年度、前年比37.1%増の192億円と大きく伸び、その後も年平均成長率45.8%で推移し、2023年度には632億円にまで市場が拡大すると予測している。