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NEC、日本取引所自主規制法人の売買審査業務向けにホワイトボックス型AIを提供

 日本電気株式会社(以下、NEC)は25日、株式会社日本取引所グループ傘下の日本取引所自主規制法人に、ホワイトボックス型AI(予測結果の根拠を説明可能なAI)を搭載したシステムを提供し、安全・安心な金融取引に向けた環境整備を支援すると発表した。システムは、一日数千万件にのぼる売買取引において、相場操縦行為などの不公正取引の調査を行う売買審査業務向けに提供するもので、12月より稼働している。

 日本取引所自主規制法人では、金融犯罪は複雑化・巧妙化を受け、2018年に売買審査の初期段階の調査にNECのAIを導入するなど、ICTを活用した不公正取引の監視・防止の取り組みを強化してきた。今回、新たに解釈性を備えたホワイトボックス型AIを搭載したシステムに更新し、さらに深度のある売買審査業務の実現に取り組むとしている。

 システムには、NECのAI技術群「NEC the WISE」の1つである、多種多様なデータの中から精度の高い規則性を自動で発見し、その規則に基づいて、状況に応じた最適な予測を行う、異種混合学習技術を活用している。

 異種混合学習技術は、ホワイトボックス型AIであり、審査業務においても、高度な予測精度と予測に至る根拠を可視化する解釈性を両立している。また、人間では気付きにくいリスクをAIが検知・可視化することで、新たな観点から不公正取引の防止に寄与することも期待できるとしている。

 NECは、AIをはじめとする先進技術を活用し、安全で快適な金融サービスを、あらゆる人と産業へ届けるための取り組みを推進すると説明。これにより、人やモノ、プロセスの情報・状態をバリューチェーン全体で共有し、新たな価値を生み出す「NEC Value Chain Innovation」を顧客とともに実現していくとしている。

AIを活用した売買審査業務の概要イメージ