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NEC、「NEC AI不正・リスク検知サービスfor証券」の新メニューで、インサイダー取引の審査業務にAIを導入した「総合売買審査サービス」を提供

 日本電気株式会社(以下、NEC)は20日、AIを活用し、金融取引における不正・リスク対策業務の効率化・高度化を実現するSaaS型クラウドサービス「NEC AI不正・リスク検知サービスfor証券」に、AIによるスコアリング機能と売買審査業務機能を融合した「総合売買審査サービス」を新たなメニューとして追加し、提供開始した。株式会社SBI証券が先行して、2022年12月に同サービスを採用し、2023年3月から本格的に稼働開始する予定。

 新たに提供する総合売買審査サービスは、AI売買審査支援サービスで提供していた相場操縦取引における不公正度合いをAIでスコアリングする機能に、インサイダー取引への対応と、売買審査システムの業務機能を融合し、業務と一体化することで業務高度化・効率化を実現する。

 NECでは、インサイダー取引の審査業務にAIを導入するのは国内初になると説明。インサイダー取引は審査観点が多岐にわたるため、審査対象の絞り込みが難しく、多くの審査時間を要しており、AIを活用することでより審査業務の高度化・効率化が期待できるとしている。同サービスは、2021年に検証したインサイダー取引の疑い度合いをAIによりスコアリングする審査業務のメニューを、新たなサービスとして提供する。

 サービスでは、相場操縦取引審査のAIモデルに加え、インサイダー取引審査に関する取引データや重要事実データなどを学習したAIモデルを新たに生成する。それにより、見せ玉など相場操縦取引とインサイダー取引の不公正度合いをAIでスコアリングすることで、審査対象を絞り込み、最大約90%の業務削減が可能としている。また、スコアの提示だけでなく算出根拠も示すため、審査結果の説明への活用に加え、納得感・安心感を持ったAIスコアの活用ができるとしている。AIには、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の一つである「異種混合学習技術」を採用している。

 審査対象となる取引時の板データや、チャートなどを同一画面内に表示しながら審査することが可能。また、タブによる表示切り替えのみで、AI判定結果も同画面に表示できる。審査上必要な機能を一つのシステム・画面に集約し、深度のある審査を実現する。

 サービスはSaaS型で提供されるため、既存のシステム環境にとらわれることなく、短期間かつ効率的に導入が可能。導入後のシステム保守・運用もサービスの範囲に含まれるため、サービス導入後の運用負荷を軽減する。なお、サービスではAmazon Web Services(AWS)をサービス基盤として採用し、セキュアかつ柔軟性の高いサービスを実現する。

 ルール抽出機能は、日本証券協会や取引所が定める銘柄・顧客の抽出基準に対応する。また、買い上がり・売り下がりなどのNECが用意する任意の抽出基準も標準サービスとして利用できる。さらに、公設取引所、私設取引所の株式の取引・先物取引の売買審査にも対応する。

 NEC AI不正・リスク検知サービスfor証券(総合売買審査サービス)の価格(税別)は初期費用が1000万円から、月額費用が100万円から。NECでは、今後5年間で10社への販売を目標とする。