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日本マイクロソフト、Azure関連を中心にMicrosoft Igniteの注目される発表を紹介

 日本マイクロソフト株式会社は、2020年9月22~24日にオンラインで開催したテクニカルカンファレンス「Microsoft Ignite 2020」において発表された内容をもとに、日本の顧客向けに情報をまとめた特設サイト「Microsoft Ignite Recap Day 2020」を、11月20日から公開している。

 Microsoft AzureやMicrosoft 365、Microsoft Teams、Dynamics 365、Power Platformなどの最新情報を要約して、日本語で紹介するウェビナーで構成。さらに、英語版として、サティア・ナデラCEOによる「Building Digital Resilience」と題した基調講演をはじめ、800を超えるセッションをオンデマンドで視聴できる。

 そして日本マイクロソフトでは12月1日、このなかから、Microsoft Azure関連を中心に、注目される発表などについて説明を行った。

AIに関する発表

 AIに関する発表では、空間分析機能である「Computer Vision Spatial Analysis」を紹介した。動画のなかからリアルタイムで人を検出し、店舗内などの人と人の間隔や、待機時間といった状況を把握することができる。コンテナで提供し、エッジコンピューティング環境やオンプレミスで利用することができるのも特徴だ。

 「Azure Stack Edgeなどを活用することで、カメラを設置している場所でリアルタイム処理ができる。店舗内でのソーシャルディスタンスを確認するといった用途でも利用できる」(日本マイクロソフト Azureビジネス本部クラウドネイティブ&デベロッパーマーケティング部シニアプロダクトマーケティングマネージャーの廣瀬一海氏)という。

 また「Computer Vision v3.1 Read OCR機能 API/Container」では、初めて日本語機能を提供すると発表。「OCRが苦手とする、角度がある位置からの文字判定や文字列判定を行うことができる。クラウド連携だけでなく、Azure Stack Edgeをはじめとしたエッジコンピューティングでの利用も可能である。写真そのものが機微情報であり、クラウドに上げることができないという場合でも、エッジで判定が可能になる。複数言語が混在した環境でも利用できるようにしている」という。

Computer Vision Spatial Analysis
Computer Vision v3.1 Read OCR機能 API/Container
日本マイクロソフト Azureビジネス本部クラウドネイティブ&デベロッパーマーケティング部シニアプロダクトマーケティングマネージャーの廣瀬一海氏

アプリケーションとインフラに関する発表

 アプリケーションでは、「Azure Communication Service」に触れた。

 チャットやテキストメッセージ、電話、音声、ビデオによるリアルタイムコミュニケーション基盤であり、自社のアプリケーションに組み込んで利用することができる。電話番号の発行や通話、チャットボットなどの各種Azureサービスと、シームレスな連携も可能だという。

 「コールセンターにおいては、メールでの問い合わせに対して返信をしながら、ビデオ機能を活用して対話でサポートする、といったことができる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、対面ではないコミュニケーションを取るといった点でもメリットがある。REST APIやJavaScript、.NET、Java、Pythonがサーバーで動作。クライアントでは、HTML5、JavaScript、iOS(Obj C, Swift)、Java(Android)に対応しており、さまざまなデバイスで利用できる」とした。

Azure Communication Service

 インフラ関連では、「Azure Arc」を取り上げた。

 Azure Arcは、Azureのサービスと管理をどのインフラでも利用でき、ハイブリッドクラウドの実現を容易にするのが特徴だ。Microsoft Ignite 2020では、Azureをはじめとしたさまざまなクラウドを包含して、セキュリティ、統合資産管理、課金管理、死活モニタリングを可能とする「Azure Arc enabled servers(VM)」の一般提供を開始。さらに、新たに用意した「Azure Arc Enabled data Services」のプレビュー版を提供開始したことも発表された。

 「SQL Serverに限らず、PostgreSQLも対象となった。これは、2019年に買収した米サイタスデータの技術を活用したものであり、Azure Arcからデータベースを増やしたい場合にもPostgreSQLをシームレスに拡張できる」という。

 また、Azure Arc enabled Kubernetesのプレビュー版の提供を開始。「Azure Stackなどにより、エッジで展開しているKubernetesの管理や、Red HatのOpenShiftによる管理も、Azure Arcから提供できる」という

Azure Arc

 インフラではもうひとつ、低軌道や中軌道、非静止軌道の通信衛星と、X帯、S帯、UHF帯を用いてMicrosoft Azureに接続するAzure Orbitalについても言及した。

 「VITA 49(VRT) RFデータ」による衛星画像を、クラウドモデムやカスタムのモデムを利用して受け取るほか、航空や船舶、海上などのエッジと衛星、衛星地上局を経由して、Azureデータセンターにネットワークを乗り入れする衛星通信リンクを提供する。

 「船舶の映像を衛星経由で、Azureのデータセンターに送ることが可能になる。航空機へのコンテンツの提供やアップデートを、直接Azureから行うこともできる。また、衛星画像をAzureストレージに保存したり、Azure AIで解析を行ったりといった使い方も可能になる。さらにAzure Spaceとして、イーロン・マスク氏が展開するスペースXのスターリンクにも対応していることも発表した」と述べた。

Azure Orbital

セキュリティとコンプライアンスの発表

 一方、セキュリティに関しては、セキュリティ全体のブランドであるMicrosoft Defenderと、それを構成するAzure DefenderおよびMicrosoft 365 Defenderを発表。「Defenderにブランドに統一したことが大きなアップデートになる。Microsoft 365とAzureを、Microsoft Defenderというブランドで包含。エンドポイント、アプリケーション、SQL、仮想サーバー、ネットワークトラフィックのすべてを含めてXDRで対応していくことになる。これまでのATP(Advanced Threat Protection)の名称などはなくなる」(日本マイクロソフト Microsoft 365ビジネス本部製品マーケティング部プロダクトマーケティングマネージャーの山本築氏)という。

 「また、Azure SentinelとしてSIEMを実現。クラウドソリューション間を連携することができる」とも述べた。

日本マイクロソフト Microsoft 365ビジネス本部製品マーケティング部プロダクトマーケティングマネージャーの山本築氏

 なおMicrosoft Threat ProtectionはMicrosoft 365 Defenderに、Azure Security CenterはAzure Defenderに、Microsoft Defender Advanced Threat Protectionは、Microsoft Defender for Endpointに、Office 365 Advanced Threat Protectionは、Microsoft Defender for Office 365に、Azure Advanced Threat Protectionは、Microsoft Defender for Identityに、それぞれブランドが変更された。

ブランドが変更された

 コンプライアンスについては、「Compliance Manager」を紹介。「全世界では、1日に220以上の規制がアップデートされている。日本のユーザーのみならず、全世界のユーザーが規制に対応する際に、知らないところで、知らないタイミングで、規制がアップデーtoされているという状況にある。だが、その規制を知らなかったというわけにはいかない。Office 365を含めたテナント情報と、規制に関するアップデートを連携することで、スコアリング化し、それをもとに設定を変更するように促す。GDPRに対応する必要があれば、どうしたらいいのかといった推奨提案も行う。GDPRやISOなど、150以上の業界、地域固有の規制に対応している」という。

 「NEW Connectors APIs」では、ハラスメントの検知や内部不正の検知に対応。その対象をTeamsだけでなく、SlackやZoom, WhatsApp上のチャットにも広げたという。「APIを提供しており、ユーザーは、さまざまなプロダクトを利用しても対応できる」とした。

 また、「MCAS DLP」の機能拡張では、Dropboxなどのサードパーティーの製品にも、DLP機能を拡張。機密情報をサードパーティーのサービスからダウンロードする場合などの管理もできる。

コンプライアンスに関する発表

アイデンティティに関する発表

 アイデンティティでは、現時点でのAzure Active Directoryの利用状況について説明。現在、全世界で20万以上のエンタープライズカスタマーがAzure ADを利用。月間アクティブユーザーは3億4000万件、一日で300億以上のリクエストを受け取っているとした。

 Microsoft Ignite 2020の発表では、Azure AD B2Cでも、不正アクセスを知らせ、防御するIdentity Protectionの機能が使用できるようになったほか、Azure ADをヘッダーベース認証に接続することで、従来のオンプレミス認証システムを有効活用しながら、シングルサインオンが可能になるという。

 さらに、Service nowやAdobeなどのサービスがAzure AD向けに一般提供。「今後、さらにAzure AD とアプリ連携の選択肢が増加することになる」と述べた。

アイデンティティに関する3つの発表