ニュース

NTTデータと東急ハンズ、アバターを利用した遠隔接客の実証実験を5店舗で実施

専門スタッフがバックヤードや自宅などから接客を実施

 株式会社NTTデータは14日、株式会社東急ハンズの協力のもと、オペレーターの動きと連動するアバターを介して遠隔から商品を提案するデジタルストアの実証実験を開始すると発表した。6月に実施した1店舗での検証から、今回は3都市5店舗に規模を拡大、専用端末なしで遠隔接客できるように進化させるとのことで、期間は10月16日から12月15日(予定)まで。

 この実証実験では、東急ハンズ渋谷店、新宿店、池袋店、梅田店、博多店の3都市5店舗にアバター特設ブースを設営。実験開始後、最初の1カ月は美容やコスメに詳しい専門のスタッフが、また2カ月目は実演販売「ヒント・ショー」専任チームが、来店客の要望(商品の使用用途や肌悩み、贈る相手、予算など)をヒアリングし、おすすめの商品や贈り物を案内する接客業務を実施する。

 接客コミュニケーションにアバターを介することで、来店客に対し、より気軽かつ安心して買い物できる機会を提供することが狙いという。

 また遠隔接客機能には、Webブラウザ上で接客操作を実施できる、UsideU社の「TimeRep」を採用しており、必要なアプリケーションをインストールした専用機器は不要。これにより、スタッフは本社、店舗のバックヤード、自宅などさまざまなロケーションから接客を実施できる。

 このため、「店頭でお客さまと接客スタッフが対面して初めて接客コミュニケーションは開始される」という従来の前提条件を排除し、専門知識をもったスタッフをより柔軟にアサインできる、新たな接客コミュニケーションのあり方を生み出すとともに、スタッフの柔軟な働き方を実現するとしている。

 なお、今回の実験における接客シーン(ビューティ、実演販売)にあわせて、専用のアバターをデザインし、来店客がより接しやすく、接客コミュニケーションもしやすいシーン作りを行うとした。必要に応じて、アバターではなく接客員の実画像に切り替えられる機能も追加しているので、より多様な接客シーンに活用できるとのこと。

 このほか、AI顔認識機能(サイバーリンクの「FaceMe」)により、来店客の性別・年齢層や感情を推定したデータ・会話データを、ダッシュボードから簡易に確認可能な機能も搭載した。これを利用することで、実際の接客コミュニケーションの内容を、実データに基づいて振り返り、良かったこと・悪かったことの把握や、コミュニケーションの改善、さらには良かったコミュニケーション術の組織内展開も容易になるとしている。

 東急ハンズとNTTデータでは、今回の実験で得られたデータを生かして、接客コミュニケーションの変革・普及を推進する考えで、リアル店舗・Eコマースサイトの垣根を越え、デジタル活用による新たな接客市場の変革に挑戦するとのことだ。