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ボタンひと押しで簡単に画面共有――、パナソニックのワイヤレスプレゼンテーションシステム「PressIT」
2020年9月16日 06:00
パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社は15日、ワイヤレスプレゼンテーションシステム「PressIT」を10月上旬から順次販売開始すると発表した。
PressITは、手元のPCやタブレット、スマートフォンの画面を、ワイヤレス通信によってディスプレイやプロジェクタに表示できる製品。ビジネスや教育の現場において、フェイストゥフェイスのコミュニケーション活性化をサポートするとしている。
ディスプレイやプロジェクタなどの映像表示機器に受信機を接続。PCやタブレット、スマホには送信機をつなぐだけでディスプレイの電源が自動的に入り、入力も切り替わるため、ボタンひと押しで簡単に画面共有できるのが特徴だ。商品名のPressITは、ボタンひと押しで利用できる特徴から名付けたという。
資料や映像の共有がスムーズに行えるだけでなく、プレゼンテーションを行うために席を移動したり、接続用のケーブルを手渡したりする手間がないため、準備にかかる時間を削減し、効率よく会議を運営できる。
1台の受信機には最大32台の送信機を接続でき、最大で4台の画面を同時表示可能なため、多人数の会議や授業、ワークショップ、ブレインストーミングなどでの活用にも適しているとのこと。
パナソニック コネクティッドソリューションズ社 メディアエンターテインメント事業部 ビジュアル国内マーケティング部の青山直樹部長は、「PCには、専用のソフトウェアやドライバのインストールが不要で、送信機を差し込み、ボタンをひと押すするだけの2ステップで利用できるため、貴重なコミュニケーションの時間を無駄にしない。また、複数の資料を表示可能なので、資料を比較したり、複数のアイデアを効率よく共有したりできるほか、講演や発表などの際には、参加者の画面が割り込めないよう、画面表示を独占できる『固定モード』にも対応している。ストレスなく利用可能で、プレゼンテーションの足を引っ張ることがない」とする。
「かんたん」「スマート」「あんしん」をコンセプトに開発
パナソニックではPressITについて、さまざまな用途に合わせた使い勝手で、簡単操作を実現する「かんたん」、設置環境や使用シーンに最適化されたスタイリッシュなデザインである「スマート」、ワイヤレスでもストレスなく、セキュリティを重視しているユーザーでも安心して利用できる「あんしん」、といった3つのコンセプトで開発したことを強調する。
パナソニック コネクティッドソリューションズ社 メディアエンターテインメント事業部 ビジュアル技術部 ビジュアル技術七課の森猛課長は、「PCの操作が不要で、ひとつのボタンの操作だけで画面共有や4画面分割、固定モードの切り替えができる」とした。
送信機は、HDMIおよびUSBケーブルで接続するタイプと、USB Type Cケーブル1本で接続できる2種類を用意。デバイスのインターフェイスに合わせて選べる。また、送信機には複数の人が触れるため抗菌仕様としたほか、送信機の背面にはマグネットを採用。ホワイトボードなどに張り付けることで管理を容易にし、会議参加者もすぐに使用できる。
受信機は、ボックスタイプのほか、パナソニックのディスプレイ本体に装備したスロットに収納できるIntel SDM仕様の受信ボードの2タイプをご用意している。
このうちボックスタイプは設置場所を選ばない小型デザインを採用しており、映像表示機器から5V2AのUSB給電で電源を確保できるため、同梱の専用金具を使用すれば、ディスプレイやプロジェクタに取り付けて設置することができる。
一方の受信ボードは、パナソニックのディスプレイの背面スロットに差し込めるだけでなく、ディスプレイ本体から電源を供給でき、設置場所を気にすることなくスタイリッシュなレイアウトを実現する。これにより、ディスプレイを壁掛けで設置する場合や、収納場所がない環境での設置にも便利だ。
さらに効率的な映像伝送により、映像の遅延やカクツキが少ない映像再生が可能。静止画、動画ともに、フルHDの高画質映像を表示可能なだけでなく、動画は最大1080/60pまで再現できるため、プレゼンテーターをはじめとする参加者にとって、ストレスのない、効果的なプレゼンテーション環境を整えることができる。
映像および音声のインターフェイスにはHDMIを採用。PCなどのデバイス内部のデータにアクセスしないため、情報漏えいのリスクを低減しているのに加えて、ネットワークに脆弱性が見つかった場合は、最新のセキュリティソフトウェアにアップデートすることで、状態を更新する機能を備えた。受信機と送信機間はペアリングされており、外部への情報流出や、隣接する会議室や会場への誤伝送も防止できる。
市場想定価格は、ボックスタイプの受信機1台、HDMIの送信機2台、ケース1個で構成する基本セット「TY-WPS1」が24万円前後(税別)。
会議や教育現場へのトータルシステムとして提案していく
国内のワイヤレスプレゼンテーションシステム市場は、2024年には3万台の市場規模に拡大すると予想されており、パナソニックではPressITにより、市場シェアで3割にあたる1万台の出荷を計画している。
またグローバルでは、2024年には50万台の市場規模を想定しており、そのなかで20%のシェア獲得を目標にする。
「PressIT単体の販売だけでなく、コネクティッドソリューションズ社が持つテレビ会議システムやPCなどの商材と組み合わせて、会議や教育の現場にトータルシステムとして提案したい」(パナソニック コネクティッドソリューションズ社 メディアエンターテインメント事業部の貴志俊法事業部長)とした。
貴志事業部長は、「新型コロナウイルスの影響で働く環境は大きく変化し、自社オフィスやシェアオフィス、自宅、カフェなど、場所と時間を有効に活用し、生産性向上、業務効率化を実現するために、ビジネスの現場は市場変化に柔軟に順応していく必要がある」と前置き。
「リモートワークが広がるなかであらためて見直されているのが、オフィスの役割と価値である。リモートワークとオフィスワークには、それぞれの価値があり、オフィスワークだからこそ実現できるフェイストゥフェイスのコミュニケーション体験が重視されている。すれ違いからの会話や雑談、集まることで生まれる会話による情報の共有など、人が交わり、集まることでさまざまなコミュニケーションを創出している。オープンオフィスなどのオフィス空間の環境変化も、共創や偶発によるコミュニケーションの活性化を促進することにつながっている」とする。
具体的な事例として、立ち寄ったリフレッシュスペースで会話が生まれて、手元のタブレットの情報などをその場で共有。数人の会議では、お互いのアイデアを見せ合いながら議論をするといったケースを紹介。
「フェイストゥフェイスの会話であるからこそ、資料や映像を簡単に共有し、視覚情報を増やすことで、相手に伝わるコミュニケーションが行える。PressITは、オフィス内でのコミュニケーションを活性化するツールとして開発したものだ。新たな生活様式に伴い、企業で働く環境や働き方は多様化し、現場のニーズは新たな体験価値にシフトしている。モノの進化とコトへの貢献が求められているなかで、拡張のある映像・音響ソリューションにより、ワクワクや便利さを届け、お役立ちしたい」と述べた。
なおコネクティッドソリューションズ社では、「顧客満足につながらない仕事は、すべて見直すべき」との信念を掲げ、さまざまな角度から働き方改革に取り組んでおり、ワークプレイス改革やICT利活用の促進、業務プロセスの改善などの観点から、同様の課題をかかえる顧客向けに、さまざまなソリューションを提供している。
PressITを手掛けるメディアエンターテインメント事業部は、そのパナソニック コネクティッドソリューションズ社の9つの部門のひとつ。プロジェクタやディスプレイなどの映像表示システム、放送局などで利用するスタジオカメラやリモートカメラ、スイッチャーなどの放送・業務用映像システム、RAMSAブランドの大型スピーカー、マイク、音響ミキサー、非常放送などのサウンドシステム、HDコムによる多拠点ビデオ会議システムを商品化している。
そして、これらの商品を、テーマパークやミュージアムなどのエンターテインメント市場、オフィスや学校などのビジネス・教育市場、駅や空港、店舗などのパブリック市場、放送局やスタジオなどのメディア市場に展開しているという。
「パナソニックは、企業向けのビデオ会議システム市場に2009年から参入。2019年には、Web会議サービスと映像・音声双方向コミュニケーションが可能なビデオ会議システムを業界で初めて投入し、リモートワークとオフィスワークのハイブリッドでの働き方をサポートしてきた」などと述べた。
そのなかで今回のPressITは、ビジネス・教育市場向けの製品に位置づけられており、企業の会議室や大学の講義室などに、多数の映像・音響ソリューションを提供してきた実績をもとに、新たに提案するものになる。