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日立、レガシーシステムの刷新に向けCIを活用したマイグレーション開発環境を提供

 株式会社日立製作所(以下、日立)は22日、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けて課題となるレガシーシステム刷新への対応の強化として、基幹システムの多くで採用されるCOBOLシステム向けに、アプリケーション開発プロセスを自動化する「継続的インテグレーション(CI)」を活用した新たな開発環境を整備し、「マイグレーション開発環境構築支援サービス」として提供を開始した。

 マイグレーション開発環境構築支援サービスでは、既存システムを新しいプラットフォームに移行するマイグレーションの開発プロセスをCI基盤上に標準化し、開発者やプロジェクト管理者を支援する各種機能やツール群で構成された開発環境を提供する。リスク軽減やコスト面から継続して利用されることの多いCOBOL資産のシステム移行を対象とし、マイグレーションの受託開発に適用するほか、自社で開発環境を保有する企業やシステム開発事業者に提供する。

 サービスで提供する開発環境の中核となるCI基盤には、アシアル株式会社の「Monaca DevOps」を採用し、日立のマイグレーションノウハウと組み合わせ、マイグレーション向けのCI環境を整備した。アプリケーション開発プロセスを自動化できるCIの仕組みをマイグレーション開発環境に適用することで、手作業が多く煩雑なマイグレーション開発の一連の流れを自動化する。これにより、不具合を早期発見し、手戻りをできるだけ少なくかつその影響を小さくすることを可能とし、品質確保に貢献する。

 また、アジャイル開発で広く使われているCIを導入することで、COBOLに慣れていないオープン系の技術者でも違和感なく使用できる開発環境を実現し、COBOLを使ったマイグレーション開発に従事できる技術者の確保を支援する。加えて、標準化したマイグレーション開発プロセスをCIの仕組みによって自動化することで、リモート環境によるコミュニケーション不足から発生する開発プロセスの手戻りを防止し、リモート開発によるマイグレーションを支援する。

 さらに、開発環境をマイグレーション後のシステムの維持・保守にも継続的に活用することで、システムのリリースサイクルの改善や品質確保の早期化を図り、業務の見直しや法改正などに柔軟かつ機動的に対応できるシステムの実現に貢献するとしている。

 マイグレーション開発においては、プロジェクト管理者や開発者を支援する機能やツール、開発手順などをパッケージ化した開発環境を、日立の実績・ノウハウをもとに、顧客ごとのプロジェクトに応じて検討・コンサルティングし、適切な形で提供する。

 具体的には、従来プロジェクト別に新規開発が必要であったCOBOLのバージョン差異を変換するコンバーターのひな型を提供するほか、新旧システムの帳票出力結果の比較作業を自動化する東京システムハウス株式会社の「帳票現新比較ツール」、各処理の実行状況をタイムリーに可視化・管理できる「ダッシュボード機能」などを取りそろえる。これらの各ツールを連携して自動化を実現するCI基盤を一括提供し、プロジェクトの早期立ち上げを図るほか、開発者や管理者の業務の負荷軽減と、開発、運用、テストなど各工程における精度向上を支援する。

 マイグレーション開発環境構築支援サービスの価格は個別見積もり。日立では、今後もサービスの機能強化と、COBOL以外の対象言語の拡充に取り組むとともに、各種サービスと組み合わせ、顧客の重要なIT資産の維持・活用をトータルに支援することでDXを加速し、ビジネスのさらなる成長や企業価値の向上に貢献していくとしている。