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LPWAを活用して中小河川の水位情報を可視化、NECプラットフォームズの自治体向け監視パッケージ

 NECプラットフォームズ株式会社は17日、LPWAを活用して中小河川の水位情報をリアルタイムで可視化・共有する「河川水位IoT監視パッケージ」を、同日より販売開始すると発表した。市町村が管理する準用河川と普通河川、水路が監視対象となる。

 「河川水位IoT監視パッケージ」は、水位センサー子局を通じて収集したデータを集計・解析し、水位情報をインターネットで住民に公開できる自治体向けソリューション。ネットワークの構築から、水位センサー子局の設置、公開するシステムの運営・保守までをワンパッケージ化して役務提供することで、短期間での導入・サービス開始が可能という。

 具体的には、収集した水位情報はLPWA網を介して無線集約局(親局)へ送られ、さらにクラウド上へ3G/LTEで転送・蓄積される仕組み。そこで解析された情報は、住民がWebブラウザでリアルタイムに閲覧できるようになる。公開サイトでは、現在の水位や水位の変化、注意水位、危険水位といった情報がグラフ化され、Web画面上のマップから観測地点を選択してデータを表示可能。平時は1時間、大雨時は10分おきにデータが更新されるという。

システム構成イメージ

 また、無線エリア調査からネットワークの構築、監視対象地点への水位センサー子局の設置、住民に公開するシステムの運営、保守までをワンパッケージ化し役務提供することで、短期間での導入と初期費用不要かつ低コストでのサービス運用が行えるとした。

 障害対応としても、機器監視システムにより機器およびデータ通信の状態を24時間遠隔監視し、異常や故障予兆を検出した場合はアラートが上がる仕組みが導入されているので、現地機器の遠隔操作や保守交換機材の発送などを迅速に行える。

 設置される水位センサー子局は河川の水位測定に最適化され、徹底した低消費電力設計によって、内蔵電池だけで約5年の長期稼働を実現可能。センサーは電波式(非接触式)を採用しており、最大30m先の水面を測定できることから、護岸への配線などは不要で、河川氾濫時にセンサーが流出するリスクを低減している。

 さらに、実際の河川での長期検証に基づき開発した、NECプラットフォームズ独自の誤データ除去フィルタ機能を備え、屋外環境での日射、気圧、汚れなどに影響されない測定性能を持つとのこと。

水位センサー子局

 なお同パッケージは、静岡県掛川市において、実際の環境下での動作検証を重ねており、2019年10月に発生した令和元年台風第19号の記録的な大型豪雨時に際しても、掛川市の協力のもと河川の水位を観測し、リアルタイムに水位情報を可視化できたという。

 また2019年11月~2020年3月に掛川市と市内5カ所で稼働検証を共同で行って、安定した通信で想定通り動作することを確認しており、5月から掛川市において、住民向けに河川の位情報を公開するサービスが開始されているとのことだ。

 価格はオープン。NECプラットフォームズでは、今後5年間で、中小河川を有する40自治体への販売を目指している。