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住友ベークライト、NECとの共創で生産効率を20%向上 AIやIoT技術を活用

 住友ベークライト株式会社と日本電気株式会社(以下、NEC)は16日、生産技術のデジタル化に向けて共創し、製造工程にAIやIoTといった最先端のテクノロジーを導入することで、製造工程の自律制御を実現したと発表した。

 住友ベークライトではNECとの共創により、静岡工場など国内主力4工場内の装置の稼働情報などを、IoTを用いて可視化。あわせて、AIが各工程における制御ルールを分析することで、従来は難しかった、機能性化学品のバッチ連続型生産ラインにおけるデジタル化を実現したという。

住友ベークライト静岡工場

 具体的には、Edgecrossコンソーシアムが普及・推進するエッジコンピューティング領域のソフトウェアプラットフォーム「Edgecross」を採用し、異なる装置メーカーの出力情報における、通信規格の差異を吸収。複数種のデータを工場全体で分析できる環境を構築した。

 また、製造工程各所に取り付けたセンサーを通じて、装置の稼働情報、品質にかかわる評価情報などを収集し、自動的に分析する環境を整備している。この環境においては、NECの最先端AI技術群の1つである「インバリアント分析技術」を採用。リアルタイムに得られる計測データから、いつもと違う異常を発見し、その違いを数値化した。

 さらに、運用上規定されている装置の制御ルールに加えて、AIを活用することで、熟練技術者の経験に裏打ちされていた装置制御に関する暗黙知を見える化して、制御ルールとして登録した。これにより、製造工程の自律制御と品質の安定化・向上に寄与したとしている。

生産技術のデジタル化のイメージ

 こうした改善により、住友ベークライトでは、国内基幹工場の主力生産ラインで、デジタル化による生産効率20%向上を達成しており、国内のほかの生産拠点・生産ラインへも展開を図る考え。さらに、海外拠点への導入に向けた環境整備も進めるとしている。