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パナソニック、土壌と作物の状態を見える化する営農支援サービス「栽培ナビドクター」を提供
2020年5月29日 13:24
パナソニック株式会社は28日、土壌と作物の双方を分析して生育状況を管理することにより、安定的で効率的な農作物の生産を実現し、中小規模の農業従事者の農業経営をサポートするサービス「栽培ナビドクター」の提供を開始した。
栽培ナビドクターは、土壌総合診断、土壌定点診断、作物体診断の3つの診断サービスにより、土壌と作物の両方の状態を見える化し、栽培ステージに応じた土壌と作物両方の定期的な分析により、その時に必要な対処方法をアドバイスする。これにより、肥料や農薬などの過剰な使用を抑え、環境への負荷を軽減しつつ、安定的で効率的な栽培方法の確立をサポートする。
土壌総合診断サービスは、耕起(施肥前)の土壌の状態を総合的に診断。光合成をはじめとする生化学反応に欠かせないマグネシウムなど有機栽培に必要なミネラル群などを含む26項目(水稲の場合27項目)の分析により、栽培する作物に必要な成分の過不足を把握でき、最適な土壌づくりを可能とする。これにより、減農薬、減化学肥料栽培、有機栽培に活用できる。
土壌定点診断サービスは、作物の生育段階に合わせて実施する土壌診断で、生育に必要な土壌の状態・成分の過不足を知ることができる。作物の成長の遅れや、生育不全が起きているときや開花・着果不良、いつもと違う病害虫が発生している時に実施すると効果的なサービスとなる。
作物体診断サービスは、栽培中もしくは収穫した作物そのものを診断する。糖度や酸度、光合成による葉緑素とその中心となる交換性苦土、植物細胞の生成に関係する交換性石灰や交換性カリ、必要とされるアミノ酸に関係する硝酸態窒素、浸透圧による吸収に関係するナトリウムなど8項目を分析、作物・収穫物の状態が分かる。
パナソニックでは、2016年12月に農業管理サービス「栽培ナビ」の提供を開始し、種苗の播種・定植日、作物の収穫日・量、農薬や肥料の使用状況などの営農履歴の記録・管理、温度、湿度などのセンサーデータを閲覧できるサービスとして、「栽培履歴」と「環境」を見える化してきた。今回、新たに「土壌」と「作物」の状態の見える化が可能となり、これら4項目の把握を通じて栽培方法の確立をサポートするとしている。
栽培ナビドクターは、分析の申し込みから分析結果閲覧、施肥アドバイスなどをウェブ上で利用できる。また、栽培ナビの利用者は同じIDとパスワードを利用できる。
無料で利用可能なマイページでは、自身の栽培を振り返るための栽培結果を管理できる。分析結果の中から、特に重視する項目を3つ選択して画面をカスタマイズできる機能や、具体的な計画を立てて実行し、記録・確認、改善を行うPDCAサイクルを管理できる機能を備え、生産者が目標とする栽培方法の実現をサポートする。
栽培ナビドクターの価格(税別)は、土壌総合診断サービスが1万5000円、土壌定点診断サービス(ミネラル含む)が1万円、土壌定点診断サービスが5000円、作物体診断サービスが3000円。
パナソニックでは、生産者が利用する肥料、資材も管理できる機能も近日公開を予定しており、今後もサービス内容を拡充することにより、サスティナブルな循環型農業の実現を支援していくとしている。また、サービス開始の記念として、先着500件まで土壌総合診断サービスを無料で提供する。