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2023年度のパブリッククラウド国内市場は2兆1887億円規模、SaaS市場が1兆円超え~富士キメラ総研調査
2020年5月29日 06:00
株式会社富士キメラ総研は28日、パブリッククラウドサービスの国内市場に関する調査結果を公表した。パブリッククラウドの国内市場は、2023年度には2兆1887億円となり、2018年度比で2.1倍の規模になると予測している。
富士キメラ総研では、調査結果を「2020 クラウドコンピューティングの現状と将来展望(市場編)」としてまとめている。調査では、パブリッククラウド(SaaS、DaaS、IaaS/PaaS)の国内市場の現状を分析し、将来を予測している。また、「2020 クラウドコンピューティングの現状と将来展望(企業編)」では、メガクラウドベンダー3社、外資系ベンダー3社、コンピューターベンダー3社、SIベンダー4社、キャリア/サービスプロバイダー7社、CIベンダー12社のビジネス実績や戦略などを整理している。
2019年の国内パブリッククラウドサービス市場規模の見込みは合計1兆2591億円で、カテゴリー別ではSaaSが7238億円、DaaSが276億円、PaaSが1603億円、IaaSが3474億円。2023年度のカテゴリー別予測は、SaaSが1兆574億円、DaaSが468億円、PaaSが4372億円、IaaSが6473億円。
カテゴリー別では、SaaSの構成比が大きく今後も堅調な伸びが予想されるが、PaaSやIaaSはさらに大幅な伸長が期待されると分析。特に、PaaSはAIやIoT、データ分析などを推進するDXの実現、サーバーレスやコンテナなどの技術を活用し、システム基盤からアプリケーションまでをクラウド環境に最適化するクラウドネイティブの実現を目的としたニーズ拡大に伴い、大きく伸びるとみられるとしている。
SaaSは、スクラッチ開発やパッケージベースからの移行に加えて新規利用も拡大しており、業種汎用型は現状は情報系SaaSがけん引しているが、今後は基幹系SaaSやセキュリティ系SaaSの伸長が予想されると分析。業種特化型は、「クラウド・バイ・デフォルト原則」を背景に、公共向けSaaSの拡大が顕著だとしている。
DaaSは、運用負担の低減やセキュリティ強化などのニーズ拡大に伴い伸びており、特に、働き方改革をはじめとした職場環境の整備が目的の導入が伸びを後押ししていると分析。また、2020年1月にサポート期間終了を迎えた「Windows 7」からの移行を背景とした利用も増えているとしている。
PaaSは、アプリケーション開発・実行・連携およびデータベース/データウェアハウスとしての需要が増えており、DXやクラウドネイティブの実現を目指したニーズが伸びを後押しすると分析。特にAI領域に関しては、サービスラインアップが拡充しており、今後も高い伸びが期待されるとしている。
IaaSは、社内システムのオンプレミス環境からの移行が進んでいることから、需要が増えており、仮想共有型/仮想専有型が牽引しているが、セキュリティや処理能力に優位性のある物理専有型も好調だと分析。今後は、データ蓄積/処理などを目的としたDX用途での需要増加も期待されるとしている。
SI全体市場に占めるパブリッククラウド関連市場については、2018年度はSI全体が10兆8400億円で、そのうちパブリッククラウド関連が1兆8305億円(全体の16.9%)だが、2023年度にはSI全体が12兆5200億円で、そのうちパブリッククラウド関連が4兆6000億円(全体の36.7%)を占めると予測。レイヤー別では、アプリケーション、プラットフォームともに伸びるが、特にプラットフォームでコンサルティング/導入支援、ITリソース提供、運用サービスなどの大幅な伸長が予想されるとしている。
また、IaaS/PaaS市場のリソースタイプ別分類では、仮想共有型/仮想専有型が2018年度の5364億円から2023年度には1兆930億円に、物理専有型が2018年度の954億円から2023年度には1983億円に伸長すると予測。仮想共有型/仮想専有型は、ソーシャルゲームのプラットフォームをはじめとしたサービスプロバイダー向けのサービス基盤として導入が先行していたが、近年は一般企業の社内システムにおける基幹系システムの移行需要が高まっているとしている。
物理専有型は、基幹系システムなど社内システムの基盤としての導入が増えており、これまでは外資系やコンピューターベンダーによるサービス展開が中心だたが、メガクラウドベンダー各社も物理専有型の提供を開始しているほか、注力度を高めるクラウドベンダーもみられ市場は活性化しており、今後の拡大が期待されるとしている。