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データ保護とセキュリティが統合されているメリットを提供――、アクロニスの「Acronis Cyber Protect」

オンライン記者発表会レポート

 アクロニス・ジャパン株式会社(以下、アクロニス)は12日、データ保護およびセキュリティ機能の統合サービスである「Acronis Cyber Protect」を日本市場に向けてリリースしたことを発表。同日、オンラインにてプレス向け製品発表会を開催した。

 Acronis Cyber Protectは、これまでアクロニスが主力サービスとして展開してきたデータ保護機能とセキュリティ機能を、単一のソリューションとして統合したサービス。バックアップやディザスタリカバリ(DR:災害対策)などの機能強化に加え、AI技術を活用したランサムウェア対策やマルウェア対策、パッチ管理、脆弱性評価、URLフィルタリング、パフォーマンスヘルス監視、リモートアシスタンスによるデータセキュリティ保護、およびこれらのレポーティングといった機能を提供する。

 一般的にデータ保護やセキュリティ対策は、複数のベンダー製品を寄せ集めたソリューションになっていることが多く、管理が複雑化しやすい。また、生産性やセキュリティ対策の品質低下、サポートやライセンスの費用が増大を招くこともある。

 これに対してAcronis Cyber Protectでは、高度なデータ保護とセキュリティの機能を統合し、統一したダッシュボードからの集中管理とリモート操作によってシステム管理者の労力を最小化するという。

データ保護とセキュリティ対策の機能を統合

 なおセキュリティ機能については、2020年3月にドイツのセキュリティ機能調査機関AV-Test.orgにおいて、Acronis Cyber Protectのプレリリース版の試験をWindows 10 Proが稼働するコンピュータ上で行っており、最高評価を獲得しているとのこと。

 しかしアクロニスでは、これらの強化された保護機能があっても、セキュリティを常に100%担保することは不可能であると認識している。そのため、Acronis Cyber Protectには、セキュリティ対策をすり抜ける脅威があっても、影響を受けたデータ、アプリケーション、システムを迅速に復元できる機能を搭載しているとした。

パートナーのサービスプロバイダへの転換を支援

 Acronis Cyber Protectは、アクロニスが提供する「Acronis Cyber Cloud 9.0」のサービスの1つという位置付けとなっており、同社のAcronis Cyber Infrastructureおよび、Acronis Cyber Platform上に展開されている。

Acronis Cyber Protectは、Acronis Cyber Cloudのサービスの1つ。検索、ビッグデータ管理、アーカイブ、データ解析といったサービスも今後追加される予定となっている

 これまでアクロニスは、自社製品をパートナー経由でエンドユーザーに販売するというビジネスモデルを展開してきた。しかしAcronis Cyber Cloudでは、アクロニスブランドのSaaSとして提供するモデルに加え、パートナーのブランドとして提供し、バックエンドのコンピューティング部分をアクロニスが担当するHybridモデルも展開している。

 Acronis Cyber Platformのレイヤにおいて、アカウント管理やリセラー管理といったAPI連携可能なコンポーネントを用意しているため、パートナーは自社のクラウドサービスとの連携が可能となる。このHybridモデルについて、アクロニス 代表取締役社長の嘉規邦伸氏は、「パートナーはストレージを提供し、Acronis Cyber CloudとAPI連携を行って各種機能を提供する」と説明した。

 さらに嘉規社長は、「当社はパートナーのサービスプロバイダ化を支援する。クラウドシフトを推進して従来の物販モデルから脱却し、パートナーのブランドでクラウドサービスを提供できるようにすることがミッション」と述べている。

 すでにIIJをはじめとする多くの日本パートナーが、自社ブランドサービスのバックエンドとしてAcronis Cyber Cloudを活用しているという。

Acronis Cyber PlatformのレイヤでAPI連携することにより、Acronis Cyber Cloudの機能をパートナーのブランドとして提供可能にする

急速に増加するテレワーク需要にも積極的に対応

 嘉規氏は、2020年の成長の柱として「セキュリティ分野の強化と拡大」「クラウド・サービスへのシフトを加速」「パートナーブランドでのサービスプラットフォーム提供」を挙げている。現在アクロニスジャパンでは、昨年度対比で13%増の社員が増加しており、年間では44%の増加を計画しているという。インサイドセールス部門の増強、ハイタッチセール部門の新設、プロダクトマネージャーも新規に採用するなど、販売体制の強化を実施中であるという。

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が社会に及ぼす影響についても触れ、「突然のテレワークの必要性に準備ができていない企業が混乱している」「経営層は業績の悪化を織り込み始めており、不要不急のIT投資を先送りする傾向にある」「クラウドの活用がこれまで以上に検討されている、あるいはすでに活用されている」などと述べ、「日本における9月以降の業績は“今何をするか”にかかっているのではないか」との見解を示した。

 また、テレワークを実施する企業が急速に増えたことから、「Zoom」「Microsoft Teams」「Webex」といったオンライン会議ツールの導入も進んでいる。しかし、これらのツールはサイバー犯罪の標的にもなりやすいため、Acronis Cyber Protectには「インジェクション防止やhostsファイル保護」「脆弱性診断とパッチ管理」「Acronis Cyber Protectionモニターで保護状態を確認」といった会議ツールを積極的に保護する機能が搭載されている。

 さらに、COVID-19に対するユーザー支援策として、「Acronis Cyber Files Advanced」の6か月間無償提供と、「Acronis Cyber Files Cloud」の無償提供(7月末まで)を発表している。

Acronis Cyber Files AdvancedおよびAcronis Cyber Files Cloudを期間限定の無償提供