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フリー、医療業界向け「freee for 医療」を提供開始――複数施設の会計一元化に対応

 フリー株式会社(以下、freee)は9日、医療業界に特化したパッケージプラン「freee for 医療」を同日より提供開始すると発表した。同社は、中期計画において業種特化ソリューションに注力することを表明しており、2025年に医療業界への支援を開始している。

freee for 医療

 freee 執行役員 業種戦略本部長の和田矩明氏は、医療業界の課題として、現在医療機関の多くが自転車操業で倒産の危機にさらされていることを指摘する。「医療法人は自己資本比率が高いが、それは高額な医療機器や建物を抱えているためだ。現預金回転期間は中央値が2.5カ月と厳しい上、保険償還には2カ月かかり、返戻リスクもあって資金繰りを圧迫している。日本医療法人協会の調査によると、現在医業利益の約75%が赤字状態。コロナ禍で借り入れた『ゼロゼロ融資』の返済ピークも重なっている」と、この業界の厳しい現状を語った。

自転車操業と倒産の危機

 また和田氏は、厚生労働省が進める新たな地域医療構想では、人口20万~30万人に急性期病院1つという再編方針が示されていることから、「今後は急性期病院でありながら、在宅治療の機能やリハビリテーション施設、介護施設を設けるケースも出てくるだろう。複数施設を運営すると会計基準やシステムがバラバラになり、経営のブラックボックス化が進む」として、短期・中長期の両面でバックオフィスを再構築する必要があるとした。

freee 執行役員 業種戦略本部長 和田矩明氏

 今回同社がfreee for 医療を提供するのは、こうした医療機関の資金繰りの課題を可視化し、地域医療構想を実現する黒字経営の組織を多数生み出すためだ。サービスの開発にあたっては、医療業界で50年の歴史を持つ税理士法人日本経営グループが監修したという。

 freee for 医療は、医療法人会計基準および病院会計準則に対応し、業界特有の複雑なコンプライアンス要件を網羅している。また、頻繁に行われる法令改正や税制変更にもクラウド上のアップデートで迅速に対応する。

freee for 医療でできること①

 病院や診療所、介護施設など、形態の異なる複数拠点の会計処理を単一のプラットフォーム上で統合管理できるのもfreee for 医療の特徴だ。拠点ごとの独立した運用と、グループ全体でのリアルタイムな実績の把握を両立し、経営を可視化する。

freee for 医療でできること②

 さらに、freee for 医療では、行政機関への提出が必要な特殊報告書類や、施設・部門別の貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)など、医療機関特有の複雑な帳票を容易に自動作成することも可能だ。これまで手作業で行っていた集計業務を大幅に削減し、ミスを防ぎながら業務生産性が向上するという。

freee for 医療でできること③

 和田氏は、「数字が可視化され、業務が自動化されることで、短期的には自転車操業から脱却できる。また中長期的には、地域医療構想に適応し、施設別の会計処理も最新の法令に沿って効率的に対応できるため、経営やバックオフィスの再構築につながる」としている。

 freeeでは今後、freee for 医療をAI活用やシェアードBPOといった方向にも進化させる方針だ。和田氏は、「System of Recordとして蓄積されるデータをAIと組み合わせることで、経営データと直結できるようになる。また、地域医療構想の進展に伴い、バックオフィスを地域でシェアード化したいといった医療法人や介護施設からの相談も増えており、こうした取り組みを支える基盤としても進化できると考えている」とした。

 また、freee for 医療だけでなく、「業界に特化したパッケージ群『freee for ◯◯』を今後も新たに展開する予定だ」と述べた。

今後の展開