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凸版印刷、製薬業界向け機械翻訳サービス「PharmaTra」 人手による事後の校正も提供

 凸版印刷株式会社は9日、製薬業界向け機械翻訳サービス「PharmaTra(ファーマトラ)」を4月より販売開始すると発表した。機械翻訳に加え、機械翻訳の訳文を人手で後編集する作業「ポストエディット」のサービスも提供するとのこと。

 PharmaTraは、製薬業界の膨大な過去訳データから構築した高精度AI機械翻訳を活用する、製薬業界向け翻訳サービス。凸版印刷が提供する多言語音声翻訳アプリ「VoiceBiz」や、「ジャパリンガル」をはじめとした多言語翻訳サービスのノウハウを活用し、自動翻訳に精通したマインドワード株式会社、医薬専門の翻訳会社である株式会社アスカコーポレーションの協力のもとで開発されたという。

 提供するメニューのうち「機械翻訳サービス」は、300万文対を超えるコーパスから深層学習で構築したAI機械翻訳を活用するほか、実用的な臨床開発用語集を搭載することにより、新薬開発関連文書を中心とした製薬文書に特化した、高精度な機械翻訳サービスになっているとのこと。

 なお利用するコーパスは、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)と総務省が共同で推進する翻訳バンクの一環として、世界の大手製薬会社の日本開発部門責任者の団体「R&D Head Club(RDHC)」に所属する8社から提供されたもの。翻訳バンクに賛同する製薬会社からの過去訳集約を継続的に進めることで、さらなる翻訳精度の向上も実現するとした。

 一方の「ポストエディットサービス」は、機械翻訳を実行した後に、機械翻訳の特性を理解した医薬専門のポストエディターによって校正を行うサービス。これにより、高品質な翻訳を短納期で納品できるという。加えて、フォーマット編集や過去訳管理など、顧客の環境に合わせて最適な翻訳フローを個別に提案・提供することも可能とのこと。

 凸版印刷では、これらのサービスを活用することにより、新薬開発における翻訳業務の時間短縮を実現でき、業務効率化や新薬開発におけるリードタイム短縮などに貢献するとアピールしている。

 なおPharmaTraの対応言語は英⇒日と日⇒英。定額制にて、「文字数」「ユーザー数」無制限で利用できるプランを用意し、製薬会社が契約をした社外翻訳依頼先も利用できるため、社内利用から新薬開発に至るまで、製薬業界における翻訳業務全体を効率化するとした。

 凸版印刷では2025年度までに、関連受注を含め約10億円の売上を目指す。また今後は、特に専門性の高い翻訳ニーズの高まる、金融・化学・エネルギー業界・学校などをはじめ、さまざまな業界・分野に特化した翻訳サービスの展開も計画している。