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特許庁の機械翻訳システムに「Microsoft Azure」が基盤として採用

 日本マイクロソフト株式会社は10日、特許庁の機械翻訳システムのクラウド基盤として、Microsoft Azureが採用されたことを明らかにした。

 特許戦略のグローバル化に伴い、特許文献を翻訳する頻度・件数は急激に増えているが、従来の人手による翻訳作業は、時間がかかる、コストが高い、大量の翻訳は難しいなどの課題がある。また、機械翻訳技術の進展に伴って機械翻訳の活用も進んでいるが、翻訳品質の高まりと比例して、莫大な計算能力が不可欠となっているという。

 今回、東芝デジタルソリューションズ株式会社が、特許庁から特許審査官、企業や研究機関などが使う「機械翻訳システム」を受注。国立研究開発法人情報通信研究機構の開発した最新のニューラル機械翻訳エンジンを組み合わせたシステムのクラウド基盤として、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォームであるMicrosoft Azureが採用された。

 この機械翻訳システムでは、ニューラル機械翻訳エンジンの処理性能を発揮させるための高速GPUインスタンスを始め、他の複数の翻訳インスタンスを並列的に動作させ必要に応じた柔軟なサーバーリソース、 Security Centerなどの各種セキュリティサービスや、構造化が難しい大量の翻訳データやログを低レイテンシーで適切に保管・分析・復元するCOSMOS DBなど、システムの基盤部分としてMicrosoft Azureの機能・サービスが活用される予定としている。

 Microsoft Azureは、クラウドセキュリティゴールドマークの取得や、円建てでの支払いや日本の法律の準拠といった日本に寄り添った契約形態など、特許庁が求める各種基準に準拠したクラウドプラットフォームであることに加え、大量の特許文献に対して高速に翻訳処理を行うにあたって、すでに280台のマシーンによる同時並行処理において期待に応えるパフォーマンスと安定稼働を実現した実績を有していることが高く評価されたという。

 さらに日本マイクロソフトは、高速・同時・大量な処理が可能な機械翻訳システム全体のアーキテクチャー設計支援、導入検討時のサポート体制の構築など、細やかなコンサルテーションを行うことで、今回の導入検討を支援してきたと説明。今後とも、高品質の機械翻訳ソリューションの開発・改良を続ける東芝デジタルソリューションズを、アーキテクチャー設計支援と技術サポート体制の両面で支援するとともに、特許庁を含めた官公庁におけるクラウド化を積極的にサポート・推進していくとしている。